カワサキの行く末

2007年を迎えました。

年が変われば発売されるオートバイもさまざま。

ここを覗いてくれてる人たちはおそらく現行車なんて知ってるけどあんまり興味がないとか、ZR-7Sがとっくに生産終了してることとか知らない人が大半だと思います(笑)

ゼファー750/1100が生産終了というのは薄々知ってる人も居ますかね。

私も何を隠そうカワサキに大きく関わる仕事をしています。

で、ここ数年のカワサキの国内販売に対する姿勢、やり方には大きく不満を抱いています。

まず第一に商品力が無い。

いつまでも過去のカラーリングと栄光を引き摺り続けるカラーリングのゼファーにZRX。

正直、みんな飽き飽きしてます。

普通にゼファーの性能に惚れた人まで、「なんだかZ1憧れで買えなかった人みたいで恥ずかしい」とかいわれてます。

確かに、頼んでもないのにタイガーやら玉虫、火の玉のしかもデカールでコストダウンの低クオリティーな仕上げの外装。

入門編の250TR、エストレアに関しては・・・言葉も出ない作り。

KSR110に関しては・・・。
意外と知られてませんがあれ、タイ生産なんですよ。
そりゃあみんなXR100買いますよ、試乗会で乗った人は誰も買いません(笑)
イジって走るようにしてもそれはそれでトラブル多いし。


レース部門もね・・・モトクロッサーのKX-Fシリーズこそ世界で活躍していますが、相変わらずZX-6RR、ZX-10Rはチームグリーンの酒井/柳川号のワークスマシンを除いてプライベーターは散々な惨敗状態。

つまり、市販状態でプライベーターが手を加えた程度では他メーカーに劣って勝ち目がないということを自ら証明…。

勿論誇れるいいモデルもあります、ZRX1200は誰が乗っても「う~ん」と唸るし、あれだけ使用用途の広いモデルは稀でしょう。
ゼファー750も、懐古主義のカラーリングを除けばまさにカワサキらしいバイク。
見た目は拒絶されますがER-6nも乗れば「おおっ?やるね!」と思える新しいジャンル。
W650も非常にトラブルが少なく、手軽に気軽に味わえるバーチカルツインで貴重なモデルです。

ただ、いずれにしてもスクーター全盛、ブランド外国車全盛のご時世ですから、よいバイクをいくら作ったところで国内販売は低迷の一途なんですけど・・・。

大型に関しては、カワサキよりも外国車のほうが売れてるんですよ、ウソみたいな本当の話。

で、意外と?知られてないんですが以前あった「ARK店」というのは全廃されました。

現在は「カワサキ正規取扱店」というカタイ名称で統一されています。

この看板のあるお店でしか国内仕様のカワサキ新車は販売できないわけですが、まあ、端から聞いて聞こえの良い言い方をすれば独占販売です。
業販禁止、通販禁止の契約です。

輸出仕様車は、その限りではありませんが。

が、その仕入額を聞くとみんなびっくりしてコーヒーこぼしたり、飲んでた味噌汁吹き出したりします。

車種かかわらず、国内仕様車は車両本体価格の9%前後レスなんですよ。

どういう意味かというと、100万円のバイクの仕入額が91万円ってことです。

30万円のバイクなら27.3万円ってことですよ。

それをどこも大体10%引きくらいで販売してます。
年を越すともっと引いたり。

つまり、登録諸経費の利益だけでどうにかこうにか赤字を免れて商売してるわけです・・
いや、損が出なければ良しということです。
実際、年度末になればどこも損覚悟で投売りしてますから・・・

それを年間数十台というノルマをこなさなければ契約打ち切り、と・・・

利益率が5%もない商品に大金つぎ込んで、・・って、バカげた商売ですよ。

今時、そこらの外貨預金や三分法投資でも年利5%以上付きますよ(笑)

それで、全国的に契約店は減っています。


なんで店側もそんな馬鹿げた契約をしてしまったのか?というとですね、カワサキの「大人の事情」からです。

当初、カワサキ(正確にはKMJ、カワサキモタースジャパン)はARK店を一旦全廃するにあたって

「専門店を大切に、技術のあるお店に生き残ってほしい」

ということで、原則として大手量販店、たとえば赤男爵のようなお店とは契約しません、過度の値引き合戦を阻止するために卸価格は上げさせてもらうけど、契約店はずっと減りますから・・・安心しください。

と営業マンがそれらしいことを言って回ったんです。

が、それから僅か数ヶ月、思いっきり全国の量販店と契約してたんですね。

おいおい、約束が違うじゃない?と言っても

「上の方針が変わったので、しょうがないですね」で終了。

結果、中古をさばいてどうにかこうにかヤリクリしてるのが実情です。

カワサキがいったいどうしたいのかというとですね、要はHONDAを真似たいんです。

小さいお店、力の弱ったお店はどんどん潰して、ホンダドリーム店的な大きなディーラー的お店が各地方に拠点として一店舗残ればいいと。

これ、旧いバイクに乗ってるからそんなの関係ないよ!って思う人もいるでしょうけど、関係あるんです。

たとえば、極論として最後に生き残ったのが赤男爵だけになったとしましょう。あるいはそれに準ずる大手量販店。
まあ、実際には極論でなく有り得る話です。

そんな方針転換したメーカーサイドが、旧いバイクの部品なんてストックすると思いますか?

10年過ぎたら、知らないよ!っていうホンダの真似をするのは目に見えてます。


大企業の方針を真似るのは結構ですが、自分たちが町工場の延長線レベルでしか世間に認知されていないことを自覚してほしい。

決して一流ではないんだから、もっと別のヤリ方があると思うんですけどね・・・

しょうがないとは分かってます。生き残らないといけないわけですから。


ただね・・・

ここ数年、何を聞いても、何を頼んでも

「自分の権限ではちょっと・・・」
「それでは所定の用紙に必要事項を記入してFAXしてください」

みたいな機械的な業務になって、ホントつまらんですよ。