キャブレタオーバーホール

オーバーホールという言葉はある意味、大変曖昧な言葉です。

実際、日本語に訳すとこれまた曖昧。

分解組み付け・・・?

分解調整組み付け?


サスペンションのオーバーホールって、どこまでやればオーバーホール?

オイル漏れが収まればOK?


エンジンオーバーホール済みって?

どこまでやるのが定義?


ある意味、非常に都合のいい言葉なんです。


逆にO/Hという響きに対して信頼が過ぎるとこれまた難しい。


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よく腐食したキャブです、既に溶けてしまってエッジ部などは変形しているのがわかると思います。

表皮もボコボコになっているのが見えるでしょうか?

フロートピンの支えも、穴が変形してしまってこれでは油面も怪しい。

これ、750RSの純正キャブなんですがこれをオーバーホールするとなると?

ボディー自体の腐食は全体に及んでいます。

エアスクリューの座面、通路も似たような状態。

スロットルバルブとの当たりも思わしくはありません。

リンクもガタが大きいです。

ひとまず、ジェット類をリビルト品と交換してエンジンは始動しました。



さて、エンジンがかかればオーバーホールに成功したのでしょうか?

実際、吹かしてみるとバキュームで同調は取れているものの明らかに音はばらついています。

プラグの焼けもまちまち。

というわけで1気筒ずつバラバラにセッティングしていきます。

ニードル段数、ジェット番手、どれもバラバラになっていきます。

カブるのがイヤなので、どうしても薄め薄めに振らざるを得ません。

1気筒ずつセットした後に、同調をとりなおして・・

と実際には気の遠くなる作業です。

いや、エンジンがかかれば良しとするなら、そこまでする必要は無いのか??


実際、修理で預かったりしたノーマルキャブのZ系で「コレ、調子いいな~」と思える車輌は極稀です。

90%は「キャブを新しいのにすればもっと気持ちよく乗れるのにね・・・Zはこんなに走らない乗りにくいバイクじゃないよ」と思いつつ、ボロボロのキャブに騙し騙しのセッティングをするしかない車輌のような気がします。

オーバーフローせず、カブらず、エンジンがかかればOKというなら「オーバーホール」は非常に簡単な作業ですが、

「気持ちよく乗れるキャブに仕上げる」というところまではまた別の作業のような気がします。

キャブの腐食具合までを考慮しながらセッティングを進めていくというのは、誤魔化し作業と紙一重です。

その誤魔化し作業に一体いくらまで払えるのか??


新品CRキャブが8万円で購入できる現実を考えると・・・

今回はCRをチョイスする事になりました。

英断だと思います。