最期の言葉

少し体調を崩した祖父が見舞いに訪れた叔父たちの帰り際、最後に残した言葉。
 
「迷惑かける事になるが、すまんの・・・  皆で力を合わせて、頑張るんで」
 
聞いた叔父たちは「??」だったそうですが、その数時間後、何の前触れもなく呼吸も心臓も止まったそうです。
 
あまりに突然の死に誰もが驚いていましたが、祖父は既に、自分の命がもう僅かだと自ら悟り覚悟を決めていたのでしょう。
 
65年前の暑い夏、8月6日、当時19歳の祖父は広島に投下された原子爆弾により被爆
 
以来、数々の病に侵され、乗り越えの繰り返し。
 
都度、戦争の虚しさ、当時の地獄絵図を私たちに説いてきた。
 
そしてあの日から65年と1日が過ぎた8月7日、息を引き取った。
 
 
 
「何が何でも8月6日に死んでたまるかよ」
 
火葬され、空に昇る熱気と煙を見ていたら、そう聞こえた気がした。
 
 
死ぬって、どういうことなんだろう?
どういう気持ちなんだろう?
 
考えても無意味なんだろうね。
 
きっと、自分が生まれてくるときの記憶が何も無いように、死ぬときもそれで終わり。