昨今話題のアルミスリーブシリンダー

エンジン分解時に、シリンダー/ピストンの選択肢として現在ではアルミスリーブにめっき加工を施した物も選択が可能となっています。

 

その優位性に関してはここでわざわざ書く必要も無いと思います。

 

しかし、恐らく自分のエンジンに導入する事は今後も無い…だろうな、と。

 

あまり話題になりませんが、アルミスリーブを選択するとピストンサイズの選択肢が減ってしまいます。

 

めっきとピストンリングの相性などの問題ではなく、アルミ素材の特性上、一般的にはZ/Jエンジンの場合、アルミライナーの肉厚はスカート部で鋳鉄ライナーよりも2mm程度多く必要と言われています。

 

となると、J系でクランクケースを無加工で組む場合だとライナー外径78mmとして、一般的には74mmのピストンが選ばれますが、この場合で鋳鉄ライナーの肉厚は2mm。

ここをアルミライナーの場合、プラス2mmの4mm確保しなければならないとなると、計算上、クランクケースをボーリングせずに組めるピストンの最大ボアは70mm。

 

70mmのJ系ピストンとなると…

選択肢が殆どありません。

 

また、今乗っている78mmボアのピストンを使用しようと思うと必要ライナー外径86mmとなり、今度はノーマルシリンダーでは使用不可となります。

 

パワーアップを目的とした場合には、なかなかアルミスリーブの選択というのはJ系エンジンの場合には難しいのではないか、と思っています。

 

あとはめっきライナーと既存のピストンリングの組み合わせですが、

正直わかりません。

鋳鉄ライナー車にアルミシリンダー車のピストン/リングを流用したことは何例がありますが…

 

現行車のアルミシリンダー車ではボアが100mm近くてもピストンクリアランスが10〜20/1000などといった物もあり、ライナー素材の異なる組み合わせで組む最大には入念な計測と確認は必要です。

ライナーの材質でピストンクリアランスは異なってくるので。

 

ZX10Rのようなビッグボアの超高回転エンジンでもピストン/シリンダークリアランスは0.015〜0.020程度ですが、

これもアルミシリンダーの膨張率がピストンに近い為で、ピストンが特殊なものだから、というわけでもないです、

もちろん、加工精度の向上で真円度含めたばらつきも減り、クリアランスが詰められているのも要素としてはあると思います。