誇り

電子レンジ、オーブン機能付きです

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これ、昭和52年くらいに初めて家庭用として普及し始めたナショナルの電子レンジ。

両親がまだ若かりし頃に購入し、今年平成21年、ついにターンテーブルの回転が不安定となり
御役御免の廃棄処分となりました。

1977~2009年までの実に32年間、毎日休む事無く使用され、一度の故障も無かったものです

現状でも、テーブルの回転が時々止まるというだけで、加熱する機能やオーブン機能には全く問題ありません。

恐らく単純に回転ベルトが滑っているだけですが、純正補修部品なんてとっくに無いだろうけど、
ベルトを似たような代替品に換えればまだ使えます。

当時は電子レンジというのはまだ高級家電で結構な買い物だったようですが、
32年間その後使えると考えれば決して高くは無い。

ふと見渡すと、周囲にこれから30年先まで使えるものってどれだけあるだろう?

クルマは、絶対に無理っぽい。
30年先にガソリンだって無いかもしれない、仮に有ったとしても、どう考えても長期保有することが税制面でも、部品供給でも不利になるようなシステムになっている。

まあ、寿命も10年持てばいいって設計だろうし、ホンダ車なんて乗ればわかるけど5~7年くらいで買い換えたい気持ちになるような絶妙な素晴らしいデザインに設計。

パソコンなどの電子機器は、半年後だって怪しい。
プリンターなんて何度買い替えさせれば気が済むのか。

家電もそう、エアコン、冷蔵庫、テレビ、どれも保証が切れる5~10年で上手いこと壊れる絶妙な設計。

そういえばMDプレーヤー、SONY製を2度購入したけど、どれも2年持たなかった。
2度とも、保証外ですけど代替品で・・とメーカーから代わりの新品が送られてきたけど、それもすぐ壊れた。
世界のソニーなんて、もう、昔の話なんだ・・・と知ってから、一度もソニーの製品は買っていない。

勿論、20年、30年、それ以上の耐久性を持たせる設計やモノ作りは可能なんでしょう。
がしかし、今そんな設計案を会社に出したら
「お前、アホか」
で却下、リストラ、解雇は間違いないだろうし

日本最大の自動車メーカーでさえ「エコ替え」と言って、効率の良いものに買い換える事こそ環境を保護する義務の一端だとアピールしてる。

とにかく、消費し続けないと経済が成り立たないこの現状。

でも、逆にこの現状をメーカーのエンジニアさんはどう思ってっているんだろう?

極限まで切り詰めた設計寿命と厳しく制限されたコスト内で計算し、それをこなすのがエンジニアの使命?本当にそれがもの作りのあるべき姿?

バイク業界が不振ながらも、ハーレーだけは売れ続けている。
これを単純に年寄りの大陸コンプレックスだなんて揶揄する人も居るけど、単純にそうじゃないだろ、って思う。
実際、メカニックの目からハーレーをいじったり分解してみると、最近のインジェクションモデルはどうだか知らないけど、ショベルとかナックルとかって笑っちゃうほど原始的で無駄の多いエンジン。
けど、事実としてそれが30年、40年経った今でも普通に修理しながらナンバー付けて走ったり、新品/リビルト部品で新車同様に組み上げる事も出来る。

そういった背景があったから、今でもハーレーを買う人が居る。
ここまで貫く乗り物メーカーってそうそう無い。
一時期、日本の某メーカーがハーレーを買収って話もあったけど。

クルマでいえばメルセデス・・・とも言われたけれど、クライスラーと提携した98年当たり以降のモデルからもどうもその空気も怪しい。
旧いベンツを好むメカニックさんの中には「あれは違う、進化じゃない」とキッパリ言う人も居る。
特にEクラスは実際不評だったし。
実際、以降のモデルではメルセデスのリピーターが減ったらしい。
多く聞くのが「これならトヨタでいいじゃん」って結論に至る人が多い・・と。

コストダウンで結果的に儲かったのかもしれないけど、モノ作りってこういう事でいいのか・・

高級腕時計も、ムーブメントはコストダウンでメーカー統一化されていったり。
開けてみれば、中身は同じ、ってモノが多い。

一度一度を薄利にしてしまうから、結果短命なものを作る。
短命だから、メーカーの評判も落ちる。
極論言っちゃえば、中国製の怪しいMDプレーヤーでも2年以上持っちゃったし。

しっかり儲けさせてもらうけど、そのかわり10年、15年はキッチリ面倒見るから!ってノリが受け入れられない世の中、なんか面白くないね。

「安くしとくけど、2,3年しか持たないよ、だって外側のデザインとか組み付けは日本だけど、中の基盤と部品は全部中国製ですから」
ってのが当たり前になりつつあるような気がして。

って、32歳になったレンジを見ながら、ふと思ったわけです。

実際、32年も持つような家電製品作ったからナショナルは儲からなかったか?
と考えてみれば、昭和50年代以降も拡大、成長、増益を続けていたわけで、

松下電器、ナショナル買っときゃ大丈夫」って効果はあったと思う。

がしかし、飽和状態になり、コストダウンを開始してからは・・・
現状経済が物語っているような気もします。

企業が永久に拡大成長を続けるのは不可能、コレは間違いない。
ある程度の到達点で、それを微妙にキープし続けるのが経営陣の能力。

商売って、難しいね。
一朝一夕で結果が出ない。

ただ言えるのは、努力や地道なサービスが報われる世の中でないといけないって事。

カスタム屋さんだって同じ。
目先の利益や月末の売上ばかりに目が眩んでいるようじゃ、今月は越せても来年はたぶん来ない。

前の仕事辞めてからも、次々に手直しの相談や
「店に出したらこんな仕事でこの請求、これってどう思う?」
「あんなに待たされてこの程度・・どう思う?」
みたいな相談が絶えません。

出来る範囲でお手伝いは出来るけど、もう業界部外者の私が口を出すのはNGです、何も口出しはしませんけど、ちょっと最近、コレって酷いよな・・・って思わされるような事がしばしばしばしばしばしば