たまには薄型ジェネレーター

最近記事書かないので、もう作ってないの?とか聞かれますが、コンスタントに作っています。

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たまにはそっちのネタを。

散々作っておいて良いところだけを取り上げて、デメリットや不具合事例を書かないのはイヤなタチなのでその辺りから。

トラブルで1番多いのは、ステーターハーネスが過熱して溶けた。
現行車で大丈夫なのにZに使うと過熱する。
ハーネスやカプラー部の劣化、腐食が要因です。
ノーマルジェネレーターでも元々熱を持つ部分ですが、発電量が増大するため、その辺りの対策が充分でない車体にそのまま使うと大概過熱します。
稀ですがボルテージレギュレータ不良の場合にも同様の症例が出ます。
可能ならMOS-FET仕様のボルテージレギュレータへのダイレクト接続が望ましいですが、それが無理な場合でもボルテージレギュレータまではギボシや圧着端子は使わずダイレクトに新しいハーネスで引き直せば大丈夫です。
(私のは実験的に丸ギボシでノーマル同様の接続をしていますが、丸ギボシが腐食していないうちは問題ありません)

次にあるのが、mk2カバー仕様の車両で、ステーターコイルのマウントが緩んでしまった例。
これはJ系がM6ボルトなのに対してmk2はM5ボルトのため、どうしても締結力が弱いのが原因です。
元々、mk2はノーマルでもステーターコイルの固定ボルトが振動で折れたり緩んだりは出る事があるので持病といえばそれまでですが、後にJ系がM6ボルトにサイズアップして対策していることを考えると致し方ない部分とも言えます。
付属のM5ボルトを適正トルクの0.7キロちょいで締めておけばまず大丈夫なのですが、どうもここを強く締めるのが怖い、昔折れ込ませたことがあるので強く締めるのを躊躇してしまう、と言うことでやや弱めに締めておいたりすると後々緩みを誘発します。
中にはM6ボルト化されたmk2ジェネレーターカバーを送って来られる方もおられるので、すでにその辺りを対策済みなのかもしれません。

あとはステーターハーネスからのオイル滲みが若干ある。
これはステーターハーネスグロメットが原因です。
昨年末あたりからドレミコレクション製のステーターハーネスグロメットの寸法が少し変更になり、ハーネスを通す穴がやや大きくなっています。
その為、きっちりシールしておかないとグロメットとハーネスの隙間からややオイルにじみが見られます。
私自身もテストの為そのグロメットを使用していますが、スリーボンドの1211を塗布して使用中ですが、現在まで漏れはありません。
ただ、残念なことにそのドレミコレクション製のグロメットも長期欠品中で、現在では純正中古品を使いまわしてもらうか、PMC製のグロメットを使うしかありません。

あと、珍しい例ではクランクシャフトエンドの雌ねじ穴が浅すぎでローター固定ボルトが締め付けられない、といった物もありました。
完全に新車時からのクランクシャフトの加工誤差というか加工不良ですが、これはクランクシャフト内部は焼きも入っていない為、通常のハンドタップによる雌ねじ切り加工で対処可能です。

他にはこちらから仮締め、仮組みでお送りしたものをそのまま第三者の方が仮締めのまま組まれたため、取り付け後間も無く破損した例もありました。
これは誤解を招くので、以降、仮組みはやめてバラバラで発送しています。

それからカバー加工によるトラブルも数例。
ユーザーさん側でカバーカット溶接時にカバーが歪んでしまい、ステーターコイル座面が傾き、傾いたステーターコイルとマグネットローターが接触してしまった例が数例。

こちらでカット溶接加工した際には必ずハイトゲージでその辺りもチェックしています。


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特にJ/GPz系カバーは歪みやすいので、センターボスまで固定する治具を用いて溶接しています。
結果、カバーのステーターコイル座面高さ誤差は初期製作のもので0.4mm以内、現在製作のもので0.2mm以内程度となっています。
後の方が精度良いのかよ!って苦情も出そうですが、後々作るものの方が精度が上がってくるのはモノづくりのあるべき姿と言うことで、その辺りはご理解頂ければと…

ちなみにカバーですが、実はJ系とmk2系で微妙に変えている点が。


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カット角度を変えています。
カバーは同じ角度で置いています。

J系の方がやや前上がりなカット角度となっています。
mk2はこれをやるとカバーの鋳型文字に対してナナメになる為、平行にカット溶接して欲しいという方が多い為そうしています。

実際サーキットを走ると僅かですが前側が当たりやすいのでJ系と同じく前上がりの角度でやるのが本当の意味でベストなのですが、見た目も大事と言うことで。

勿論、mk2カバーで見た目気にしないからやや前上がりでカット溶接してくれと言われればそのように対応可能です。