ツインプラグの真相

私のJをツインプラグ化してから随分経ちました。

いつも聞かれます「いいんですか?」と。

結果からいえば、人様の車輌には一台しか施していません。

ただプラグを4本追加するだけなのですが、手間とセットアップが大変なのでコストの兼ね合いで多くの人が見送ります。

プラグをただ追加するだけなら、NCフライスを持っている業者さんなら簡単に加工は可能です。

Dプラグの垂直追加が定番のようです。

ちなみに、某カスタム雑誌に良く出てくる関東圏の有名な内燃機屋へ加工に出したら、プラグ座面の高さが不均一で燃焼室へのプラグ突き出し量がバラバラ(怒)、スペアヘッド一個ゴミにしてしまいました・・・。

で、本題に戻りましてツインプラグ化のリスクは?というと実はあります。

まずJ系では少ないですがZ系ではノーマルで乗っていても多い

「バルブシートからプラグホールへのクラック」

これが倍増するリスクがあります。

画像のように、シートリング近辺の肉は薄くなりますから強度は落ちます。

イメージ 1


事実、私のJも1度シートリングのプラグホール付近が極微量に変形してしまい、1度目の組み付け後5000km位で一度シートリングを再カット修正しました。
ビッグバルブにしすぎているという点も問題ですが(笑)

もっとシートリングから離せればよいのですが、今度はハイコンプピストンのラウンドへのクリアランス確保やプラグキャップの差込スペースの問題があり妥協点を見出すのは難しいです。

また、セットアップに関してですがコレは手探りです。

私も色々試しました。

点火時期に関しては近いボアを持つゼファー1100とZ1000S1を参考にするところから始めました。

まず、アイドリング時の点火時期からして全然違います(10度近く遅い)

なぜ点火時期が違ってくるのか?

混合気の燃える速度と言うのは燃料が同一であれば絶対的なものですから、変化させる事は出来ません。

プラグの周囲から燃え始めて、波のように広がっていきます。

ということは当然、プラグが燃焼室中心にあるのが望ましいわけですが、それは2バルブと言うレイアウト上難しいです。
(実際には混合気を吸い込むときの流れ、渦、があるので一概にど真ん中がベストとも言えないようです)

Z/Jの場合はプラグが真ん中にはついていませんから、理論上の話ですが尖った形状のピストン(表面積が大きい)で圧縮比を高めたビッグボアエンジンで極限までつきつめていくと超高回転時にプラグから離れた場所まで混合気の燃える波が届かない(燃えきらない)うちにピストンが下がり始めて次の行程へ行ってしまう、上の伸びがありません、さあ、こまったどうしよう?

となったときに、早めに燃やせばイイのでは?と点火時期を早めればこんどは燃えて膨張した混合ガスが燃えていない部分を高圧で圧縮、そこで関係ない燃焼(自己着火)が起きてしまう、キリキリいって怖くて開けられません・・・いわゆるノッキングですね。
そこで燃料をもっと濃くして・・・黒煙ばっかり吐いてパワー出ねぇ~とかいうドツボに嵌っていくのがチューニングにはまった人の誰でも歩む行程だと思います。

そこをどうにか改善しようと試みたのがツインプラグなわけです。

火種の位置が対称な位置関係に近付くので同時に火をつければ燃焼室内の燃焼も均一スムーズ?基本的にはこれで一件落着??ですが、これをシングルプラグ仕様と同じ点火時期で動かすと??

早くに燃えすぎてしまうわけです。

ご存知の通りピストンが上死点に来る何度前に火を飛ばすか?それが点火時期の示す数値(BTDC)の意味です。

早くに燃えてしまえば、結果、ピストンが上がりきる前に膨張行程が始まってしまう。

点火時期はシングルプラグ仕様のままでツインプラグ仕様に乗れば「やたらと熱っぽいな~」「前より熱ダレ早くねぇ?」「振動も多くねぇ?」となってしまいます。

よく聞きませんか?ツインプラグにすると熱が厳しいとか。

実際には早く燃やせるので熱的に有利なはずなんですけどね・・・
もちろん、ヘッドの冷却効率はプラグコードが4本増える分微妙に厳しくなるかもしれないけど・・・

ここからがツインプラグ仕様の迷いどころです。

点火ユニット、どうする??

今はASウオタニさんよりZ用のツインスパークユニットがAssyで販売されていますのでそれを買うのが1番手っ取り早いかと思います。

私がやったときにはそんな物ありませんでしたからさんざん苦労しました。

え?DYNA4000??それじゃイージーに逃げすぎたと思われるのもつまらないので・・・

始めはゼファー400のパルシング流用(アイドリングはBTDC3度くらい)にゼファー400C1イグナイタ、コイル4個を並列仕様…

数日でイグナイタがパンク、並列ではさすがに無理でした。

次は抵抗の低いDYNAコイルを直列に繋いで抵抗値のつじつまは合わせましたが、どうも火花が弱い。
未だに原因は不明ですが、もしかしたら電源供給が追いついていなかったのかな?

次はゼファー400イグナイタを2機がけ。
パルサーコイルも改造してサブプラグの点火時期を色々ズラして遊んでみましたが、体感的に色々変わるものの、シャシダイ上でも明確な違いが出ず、明確な理論も根拠もないのも気持ち悪いのでモヤモヤした日々。

イグナイタカプラがゼファー750と共通なのでゼファー750を2機がけしたり、メインを400、サブを750、或いはその逆…と遊んでいましたが、どうにもシート下がゴチャゴチャしてイライラ。

次は後期ゼファー1100用のTPS付をAssyで使用。

今は結局ゼファー1100初期型逆車の点火系統一式、負圧センサー付、TPS無しで使っています。
イメージ 2


ちなみに、ガッカリかもしれないですけどどの仕様でもシャシダイ上でのピークパワーはほぼ同じ、誤差範囲内でした。
乗り味や熱の持ち方は違うんですけどねぇ・・・

今の仕様が1番乗りやすいと言うだけだったりしますが、コストパフォーマンスからいうと自分的にはこのあたりが妥協点かな・・・と。

勿論、もっと優れた点火システムは世の中にあると思いますが、そこはもう上を見ればきりがないので・・・

現代ならばヘッド温度やスロポジ、ギアポジション、回転数、車速での補正も可能なシステムはあります、そこまで踏み込めるかどうか?

また、最大の総論はせいぜいボアが73~75のエンジンにツインプラグが必要なのか?
圧縮比10.25:1~程度のエンジンはハイコンプレッションと呼べるのか?
実際に10000rpmとかストリートで回す人がどれだけ居るのか?
(アテにならない、実際よりも多めに表示するZ系純正タコメーターの話ではないです)

実際問題、1135cc、MTCドラッグピストンで圧縮比13:1、コンプレッション測定値16~17キロとかいう無茶なエンジンでもシングルプラグ仕様でちゃんと10000rpm回ります。

違うのはその中速域から高速域への過程で、ツインの方が柔らかいと言うか、言葉では表しにくいのですがマイルドなんです。

そういうシステムに例えばASウオタニさんのKIT、プラグコード8本、プラグ8本やら加工費やらで15万程度の価値を見出せるかどうか?

或いは私のようにアレコレハーネス作ったり、模索するのを楽しいと思えるかどうか?

そこなんです。


結論から言うと、私的にはツインプラグは「アリ」です。

やりたいと思ったら、コレはもう自分で試して、自己満足するしかないんです。

やらずに否定するのはカッコわるいじゃないですか、

「殆ど意味ないらしいよ~」とかオーナーの影でヒソヒソ言うのって。


それよりやってる人間が「どうなん?」と聞かれて

「ん?まあ、意味はないよ、自己満足かな(ニヤリ)」

それでイイんじゃないのかなって思うんです。




相変わらず結論が曖昧な私のブログでした。























エンジンのチューニングって、各部重量あわせ、各部の表面処理、寸法修正、研磨、軽量化、どれもホントに小さな事の積み重ねです。

ポートの鏡面化みたいなおまじない的な作業も含めて。

そこまで頑張って、えっ??と思う事が多いのが駆動系をまったく忘れている人が多い事。

クランクシャフトと連動して動いている以上、ピストンの動きを地面に伝えるクラッチスプロケ、チェーン、ハブ、ホイール、タイヤまでトータルで見ないと無意味です。

バイクは空吹かしで楽しむのでなく、前に走らせて楽しむ物ですから・・・

頑張ってクランク、ピストン、コンロッド磨きました、重量合わせしました、がチェーンが630、或いは安物Oリングのフリクションあ大きい530だったり、スプロケ/ハブがガタガタだったり、ホイールがクソ重たいノーマルだったり、それは小さな積み重ねをみんなムダにしてしまいます。

極論言えば、ポートを頑張って磨くよりもタイヤのエア圧を適正にして、520のレース用チェーン使うほうがよっぽど効率あがりますからね・・・。ホント極論ですけど。

ピストンの重量あわせたけど、バルブクリアランスの誤差は??

シムは005刻みですよ!

キャブの油面は?実油面測定しました?

キャブの同調は?


ノイローゼになっちゃいますよね(笑)


だから私は全体が調子よくまとまっていたらもうそれでイイんです。

それを「味」と受け止められないとね・・・乗る時間がなくなります。