裏が大事
ステンレス薄板溶接です。
TIGを始めた頃って、みんな「ステンは簡単だけど、アルミって難しいよね」
そう言います。
確かに、ステンのほうが溶かしやすい・・と言うか低い電流で作業できるので簡単そうに感じます。
がしかし・・・
本当にキッチリ付けるのはステンのほうが奥が深い。
マフラーなんかをカチ上げ加工したらすぐにクラックが入った・・・なんてのもよく聞きます。
ぱっと見、キレイについているのにすぐ割れる。
理由は、TIG溶接ではステンパイプの裏面が溶かし込めないから。
裏面がコゲコゲでカサカサになって、溶け込まない。
これは技術的な問題よりも設備の問題です。
ステンパイプを溶接するときは本来、パイプ内(裏面)にもシールドガス(アルゴンガス)を満たす必要があるんですが、バイクのマフラーの場合、そんな作業をするお店は稀。
だから不細工でも表面にシッカリ肉盛りしてやらないとダメなんです。
ちなみに薄板を溶かし込む際にウラからしっかりアルゴンガスでシールドしてやると、裏面はきれいに虹色に輝いてしっかり溶かし込めます。
最小限の溶棒を使ってまずは一層目を溶かし込みます
この時点で大事なのはオモテ面の出来よりもウラ面の溶け具合
ひっくり返すと・・
この時点でキレイに裏面にビードが出ていないとアウトです。
ここまでしっかり溶け込んでいれば表にあと一層盛って出来上がり。
曲げ試験で結果OKでした。
当然、作業中は裏面の状態なんか見えないので、勘だけで仕上げないといけません。
コレならマフラー繋いでも、割れたりしませんよ。
表に肉を大盛りする必要もありません。