フレーム補強の方法

ず~っと溶接を勉強してきました。

で、よく聞かれます。

「最適な補強方法(溶接方法)ってなに?」って。

部材の材質とか、形状とか抜きにして、単純に薄いパイプを高強度に取り付ける、という点で見れば

TIGが最適です。

不適というか難しいのが半自動、炭酸ガス溶接ですね、これは条件が狂うと一気に溶接が欠陥だらけになります。

一見キレイに付いているように見えて・・・実は全然溶け込んでいない、みたいな。

薄物にもあんまり適していない傾向があります。

でも、純正フレーム溶接は多分、半自動、炭酸ガスですが。


ただ、その前に気をつけたいのが補強部材の素材、材質です。

基本的に溶接って異種金属同士はあまりよろしくない。

勿論、普通の軟鋼にクロモリやステンレスはそれぞれくっつくけど、条件や溶棒の選択を誤ると、本当に塗装して、乗って、すぐにクラックが入ったりします。

素人考えに「金属が割れるって?」といわれるのですが、本当に塗膜の下でパックリ割れたりする事があるんです。

一般的に高強度な素材ほど溶接が難しいです。

また、よく補強部材とフレームのスリアワセ、密着が大事とも言われますが、
実は溶接で強度を稼ぎたいときには少し溶接部材同士が離れて、
溶接ビードがパイプ裏まで出たほうが強度が稼げます。

なので、工業製品では一般的に薄いパイプなどは少し離して点で仮付けして、
本溶接はそのスキマを裏まで溶かし込みながら繋いでいきます。

密着させて、その上からビードを盛るだけではあまり溶接強度が稼げません。

ただ、勿論その部材にかかる残留応力はスキマが小さいほうが少ないわけで・・・

そこらが難しいところでもありますが、「補強」って字の如く、補う程度の強度しかいらないんだからそこまで追求する必要も無いといえば無いし。

まあ、実際のところSS400みたいな柔らかい素材だったら、残留応力が出にくい上に、それがクラックに繋がるようなことは無いみたいですけど。

ちなみにロウ付けっていうのは、溶接とはちょっと考えが異なります。
母材は溶かしません。

ある程度くっつけたい物同士の面積がある場合には強度的にも非常に有効で、熱による弊害も少ないので
便利なのですが、パイプのような接触面積が少ない物の場合には非常に難しく、
材料同士のスキマが原則として均一でないと本来の強度が出ません。

つまり材料のスリアワセがほぼ完璧でないと強度は出ないです。

これが理論上の話で、現実にそれが可能かどうかは・・・

実際、有名なところがロウ付けで補強したフレーム、乗るたびにあちこち補強部材が外れたりしていましたから。

修理は楽でしたけどね、ガスで炙ってハンマーで叩けばすぐ補強部材が外せるから。

まあ、個人的には補強って具体的な目的や、自分のコレといった狙いが無いなら、あまりやたらにしないほうがいいと思いますよ。

「補強○◎箇所!」と語りたいから、ってのも、目的としてはありだと思うけど。

多けりゃえらいって訳でもないんだけど、そこはまあ、

クビ長族の首の輪っかの数が多いほどエライとか、

ハダカで暮らす人たちのコテカ(ペニスケース)が長いほどエライとか、

そういうノリって事で。



特に「高速で直線でフラれる・・」なんてのは、補強以前にどっか壊れてるか狂ってるだけなので。