職業差別

自分は、いわゆる現場職、職工です。
 
夏暑くて冬寒い。
 
「しんどい」仕事。
 
で、ここ数日の猛暑の中、工場内の排水工事で土建屋さんが重機と共に工場内を出入りしている。
 
当然、穴やら掘ったりするから、その場には必ず親会社から送り込まれた警備員が各工事場所に1名配置されている。
 
その警備員を仕事中ずっと観察していた。
 
猛暑の中、軽装とはいえない格好でただじっと立っている。
 
一般の通行人なんて居ないんだから、当然といえば当然。
 
1時間に1回程度出入りするダンプカーの駐車誘導をする位で、あとは直立不動。
 
こっちは図面持ってあ-でもない、こーでもないとドタバタ走り回っている。
 
「ん・・・あの警備員って職、なんなんだろう?
 
あの人は、一体何を考えながら直立不動でいるんだろう?」
 
素直に、そう思った。
 
おそらくああやって日給は手取りで8000円位なのだろうか?
ああいう職業でも、昇進とか、肩書きとか付くんだろうか?とか余計な事も考えた。
 
一体何を目標に働いているんだろう?小さい頃からの憧れの職業だったのかな?とまで一瞬思った。
 
批判を恐れず正直に気持ちを表すなら、「ああいう風には、なりたくないな」とさえ一瞬思った。
 
しかしその直後、逆の立場を考えた。
 
彼らから見れば、自分たちも同じように見えるんだろうな・・と。
 
「クソ暑い中駆けずり回ってかわいそうに、俺なんか立ってるだけで金が稼げるんだぜ。」
 
あえて自虐的に表現するなら、そう思われているのかもしれないな、と。
 
いや、実際にそうかもしれないし、事実、楽して稼ぐ方がエライ。
 
自分の中に一瞬生まれた職業差別が、結果、職工としての自分を自ら哀れむ結果になってしまった・・・
 
 
まあ、いいんだけど。
 
多分、職工って自分の天職だと思う。
 
昔みたいに職人魂全開で無言でコツコツ・・なんてのは通用しない時代だから、「物言う職工」でありたいと思う。
 
 
職業差別・・・
 
バイク屋勤め時代はそれが最も辛かった。
 
ここを読んでいるようなバイクに興味のある人達はわからないかもしれないけど、バイクって日本の文化の中じゃまだまだ「暴走族のおもちゃ」扱いで、それを生業とする自分たちを見る目は、大概冷たい、冷ややかだった。
 
バイク屋のクセに」「ああ。バイク屋ね」
おそらくは何気無く無意識から発せられるその一言で、どれだけ悔しい思いをしたかわからない。
 
バイク業界でも、経営者の人はそれがわからないかもしれない。
やっぱり社長は社長だからね。
 
彼女の親にも、交際を猛反対されたな・・
 
まあ、今思えば当然だけどね。
 
休みは不定、月給総支給で13万か14万、そこへ更に福利厚生一切無の自分で保険、年金払って交通費も自腹、残るのは9万円弱・・・
 
手取り年収100万ちょいの男と、我が娘を一緒にさせたいと思う親は、寧ろどうかしているとも言える。
 
得たものも多かったけど、失ったものの方がずっと大きかった気がする。
 
30過ぎて再スタート。
 
昔からいつもなにやっても出遅れるこのパターン、
 
ああ、俺って馬鹿だな。