J/Rに180タイヤ

自分のJは600-17ダイマグに180タイヤです。
 
いたって単純な理由、このサイズなら全ブランドのほぼ全銘柄のタイヤが選べるから。
 
ルックスは18インチの方が好きですが。
 
で、よくツーリング先で出会った人とか、メッセージ欄から
 
「どうやって180タイヤ履かせてるの?」と聞かれます。
 
いきなりですが、タイヤをセンターに持ってきて、530チェーン仕様で作るのはフレーム無加工では無理です、やめたほうがいいです。
 
それでもやりたければどうぞ・・・
 
とは言っても、実際にはフレーム無加工でギリギリで180タイヤ履いている車両も沢山居ます。
 
だけど、タイヤをセンターに持ってきて、となると、物理的に無理です。
 
J系のフレーム内幅は概ねどれも234mm。
 
そこに180タイヤ、BSだと大体実寸法が184mm。
 
センターに持ってくると、クリアランスが25mmしか取れません。
 
一般的な530チェーンが幅25mmちょい。
 
ドンピシャで合わせたら、チェーンとタイヤとフレームのクリアランスは完全ゼロ。
 
よく、昔お客さんに書いて説明していたのがこんなメモ。
 
よそでフレーム無加工で530チェーンでやってるんだから出来るだろ、って言われても、コレ見せたら・・・
 
イメージ 1
 
 
チェーンのプレート部厚さで8mm、スプロケ幅を9mmと大体で考えると、チェーンラインを100mmで設定してゼロ。
 
で、どうしてもと言われれば、チェーンをレース用の520化、これでチェーンが約4~5mm程薄くなるのでこれで
チェーンラインを102mm位に設定、クリアランスを各2mmで取る、と言うのが苦肉の策でした。
 
実際、2mmじゃ乗るとフレームにピンがかすりますけどね。
 
しかしこれが距離を乗るお客さんになるとドリブンスプロケットの寿命が極端に短くなる。
まあ、元が厚さ9mmあるものを6mm位まで落とすわけだから当然。
 
ドリブンをスチールで作ったりとやっていましたが、結局、現段階では手間を惜しまず?
フレーム側を炙って全面的に2mm位凹ませて、チェーンは530の薄型がRKから出ているのでそれを使う・・・と言うのが最近の自分のやり方です。
 
がっつりフレーム切ってザグって再溶接、なんて手法もあるようですが、それはそれ、考え方の違いでしょうか。
 
まあ、そんな手の込んだ事しなくても、タイヤセンターを3mmか5mm位右にずらせばチェーンのオフセットだけでクリアできますが。
別にそれが悪いとも思いません、乗ってもまずわからないし、見た目でもおそらくテール周りの部品をちょこっと修正してやれば違和感無くなると思います。
実際、ZRX1200はメーカーの設定でタイヤセンターずらしてるし、それで操作性に違和感訴える人はまず居なかったのが現実です。
バイクなんて元々シンメトリーな乗り物ではないので。
 
チェーンラインの調整ですが、大前提としてJ1、R1、B1系のミッションアウトプットシャフトは使えません。
まずは後期ミッションのアウトプットシャフト使用が大前提。
 
J系は純正スプロケットが元々4mmちょいオフセットしているのでそこに注意。
社外の15mmオフセットスプロケットをそのまま装着しても、元のチェーンラインに対しては15mmでは無いのでそこを忘れず・・・
 
4mmちょいのスペーサー挟んでもいいですが、気持ちよくないので自分は車両に合わせてスプロケット裏の圧入カラーをJ用ではなく少し長いZZR系エンジン用にして、それをベースに旋盤で短縮加工してJより4mmちょい長くして使っています。
 
ドライブスプロケットはコストパフォーマンスならZZR1100C純正、Dじゃダメです。
これで530-17T、約15mmオフセット。
ロックナットもワッシャーも全て純正品が使用可能。
このスプロケを旋盤加工して520-17T、18mmオフセットも製作可能です。
(そのあたりは加工屋さんに相談してみてください)
 
注意するのはここでバカ正直にJ/R後期の締め付けトルクでドライブスプロケットを締めない事。
速攻で緩みます。
J/Rのマニュアル数値はあくまでJ/Rスプロケを使う際にしか適用されません。
せめてZZRと同じトルクはかけましょう。
(今、手元に資料が無いので曖昧な記憶ですが、ZZRマニュアル指定は3~4割り増しのトルクのはずです)
心配しなくても、M20クラスの焼きの入ったネジ山なので、シャフトが新品であればそれくらいでナメることはありませんが自己責任で。
 
あと、スプロケ裏に変なワッシャーなんか噛ましてるのも緩みの原因です。
緩み対策で点溶接したり、M6ボルト頭で抑えるケースもありますが、そもそもそれが必要になる時点で問題があるし、実際、緩んだまま走るとM6ボルトの頭はかんたんに吹っ飛ぶし、点溶接なんて簡単に割れます。
 
あとはナット裏がちゃんとスプロケットに密着しているか?
出来の悪いスプロケだと座面が均一に当たっていなかったり、スペーサーやオフセット量の都合でナットがスプラインに底付きしてスプロケットを押さえていない例もあります。
ネジ部と座面の清掃とモリブデンペーストの少量塗布は必須。
 
J系でこれまで数十台組みましたが、レーーサーだろうが緩んだ例やその他トラブルは1台もありません。
まあ、カワサキが純正で140ps以上を誇るZZR1100Cに採用しているんだから当然ですけど。
Z系の場合はスプライン小さいし、オフセットスプロケットのスプライン加工があまいのや、純正シャフトのスプライン磨耗している物が多いので緩みとの戦いでしたが・・・
 
わざわざアウトボード使いたいって人も居ますが、トルクが不足していればあれ使っても関係ありません、緩みます。
本来のアウトボードってジェネレーターカバー、下手するとピボットシャフト穴と一体になっていて、エンジン左側面全体のM6ネジでドライブシャフトのフレを少しfでも抑えようって言うドラッグレーサーの為の部品です
 
イメージ 2
 
ミッションカバーにアウトボードつけたって、あんな長いM6ネジ4本で何のフレが抑えられるというのか・・・、考えればわかりますが。
 
自分はチェーン軌道の都合で少しでも大きいスプロケが必要だったので530-18T+15mmを特注して使っています。
多分、今は昔で言うAFAMさんとかでもかなり柔軟に対応してくれるので、予算どうこう言わなければ作ってくれると思います。
 
これらを使ってチェーンラインを理論値102~103mmで設定しています。
 
といっても、この数値もエンジンマウントの状態やマウントボルトの締め付け方で3mm、4mmくらいはすぐ狂います。
だからあまり具体的な数値は書きたくないんですが、あくまで理論値と言う事で。
 
ホイールは好きな物を選べばよいと思いますが、近年のSS系ホイールは極端にハブ部の肉厚が無くて切削追い込みが辛い車種もあるので、事前に中古品でも手にして削りシロがあるかどうかの確認は必須です。
 
ダイマグなんかはちょっとテクニックが要る方でしょうか。
 
あと、今時純正流用も古いので外品ホイールを選ぶ人が多いと思いますが、もし純正流用するなら、なるべくリアはリッターネイキッドモデルよりも近年のSS系モデルの物を。
軽いというのもありますが、外観的な面でハブが比較的小径でスポークが長く見えるので、17インチ化による短足感を防げます。
 
あとは何ミリ切削するか、ホイールセンターはどこに持ってくるのか、ここらの測定で全てが決まります。
 
自分の場合はスイングアームやホイール全てを測定して求めた計算値と、実際に車両を左右レベル出ししてレーザー通した時の測定結果の両方で判断しています。
スイングアームが左右完全対象と言うものはほぼ無いので、どうしてもこの2通りで確認しないと気が済みません。
 
いつも概ね1mm以内に収まるので、そこそこ精度は出ている・・と信じています。
 
とにかく、いつも思うんですが、まずは付けたい物を買う!手に入れる!ここから始まると思います。
いくら悩んでも考えても現物が手元に無ければ何も行動できません。
 
他人に出来て、自分に出来ないはずが無い、そう信じるしかないです。
 
自分の場合
 
ダイマグカッコイイ!」
ヤフオクで車種不明の処分品が!」
「手元に届く」
「ひたすら測る」
「考える」
「加工屋さんに相談」
 
このパターンです。
 
でも、時間が無い人や、夜遅くまで作業できないって人はイメージ伝えてショップに丸投げするのがイチバンです。
工賃が・・・なんていう人も居ますが、実際、計測機器の購入や、測ったり考えてる時間を自分の時給換算したら、工賃ってさほど高い物ではないと思います。
第一、何も考えずに買って、どう考えても寸法的に装着不能だった!という最悪の事態を避けられます。
 
もっとも、工賃払ってとんでもない物ができたと言う噂話もチラホラ聞きますが・・・