CP3125

なんでラジアルマスター使っていないの?とたまに聞かれます。
 
CP3125をJにもW650も使っています。
 
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理由は見た目もあるし、今では珍しくなくなりましたがレバー比が調整可能(可変レシオ)だから。
 
この可変って意味が未だに良く解らないって言われるんですが、例えばカタログにマスター径16~19㎜に可変と記されている場合があります。
 
これ、当然ですがピストン径自体が変わるわけではないです。
 
テコの原理で言うところの支点~作用点の距離を変化させて、ピストン径を変化させるのと同様の働きをさせる事を言っています。
 
これが物理が苦手な人には理解されにくいんですが・・・
 
難しい事は考えないようにしましょう。
要するに自分の好みの「レバーストローク」に変えられるって事です。
ストローク・・・握っていくときの深さです。
 
ゼファーとかの純正のレバー位置を変化させる機構とは全く意味が違いますよ!
これは位置が変わるだけでストロークは同じです。
とある用品店の店員が、CP3125はレバー位置を好みの位置に無段階で調整できるなんて言っていましたが、これは大きな間違いです・・・
調整できるのはストロークです。
 
マスター径を小さくするほどレバーストロークが大きくなり、弱い力でブレーキがかけられます。
 
マスター径を大きくするほどレバーストロークが小さくなり、強い力が必要になります。
 
力学的にはブレーキの効きはいずれも全く同じですが、前者のほうが弱い力で操作できるので体感的には「ブレーキが利く」と表現されます。
後者のほうは同じ制動力を得る為には強い力が必要になるので体感的には「ブレーキが利かない」と表現されます。
 
これが無段階で調整できるので好んでCP3125を使っています。
 
注意したいのは、じゃあ、マスター小さくしていけばどんどんブレーキに力が必要なくなって、より楽に利くブレーキになるのかと言うと、力が必要なくなるのに反してストロークはどんどん増えていきます。
ブレーキレバーがグリップに当たるほどストロークが増えたら・・・勿論ダメです。
 
例えばZ1/Z2にCP2696をWで付けると、マスターはシングル用のφ14の方がある程度のストロークが取れるので相性が良いと言う人が多いです。
Wディスク用マスターのφ15.875だとストロークが少なすぎてブレーキに力が必要になる、効かなく感じると言うのでφ14に戻した例は多々あります。
 
でも、これって力学的には全く同じ仕事量なんです。
 
仕事量・・・これが理解されにくい部分でもあるんですが。
 
例えば1kgの物体を100m運ぶのと、
100㎏の物体を1m運ぶのはどっちが楽か?って聞かれたら?
 
力が必要ではない、楽に持てるのは1㎏のほう。
でも、その分多く移動しないといけない。
 
移動せずに仕事を済ませようと思ったら、100㎏持ち上げないといけない。
 
極端だな・・・となる。
 
これが可変式(マスターシリンダ)になると
 
2㎏を50m運ぶ方法も選べたり、、
4㎏を25mとか、
5㎏を20mとか、
10㎏を10mとか
40㎏を2.5mとか・・・・・・
 
同じ仕事量をこなすにも、自分に合った方法を無段階に自由に選べるようになるわけです。
 
 
自転車で坂道登るのも同じ。
 
軽い1段で、力は必要ないけどすごい数ペダルをこいで坂を上がるのと、
重い6段で、凄い力は必要だけどペダルをこぐ数を少なく坂を上がる、
結果的には同じ仕事量だけど、どうせなら自分好みの段数で上がりたい、
だったら無段階変速の自転車欲しいとなるわけで。
 
自分好みの働き方が選べる、これが無段階可変式機構の利点。
今はAP以外のメーカーでも可変式を採用しているものもあるので選択肢は増えました。
 
 
あと、フロントマスターシリンダも、ボア径表記に14とか12とか16とか19とか15.875とかありますが、これはメーカーが変わればそれぞれの数値を比較しても無意味です。
NISSINの15.875が具合良かったからとブレンボの16を選ぶと大失敗します。
ブレーキレバーのレバー比が違うので。
 
一般的なリアマスターの場合は単純にボア径で比較できます。
ただし、社外ステップなどに変えてペダルの形状が変わりレバー比が変化した場合には、リアブレーキの効きが変わったと感じることは多々あります。