足流用

10~15年位前、J系買えば足回りは当然のように別車種のものを流用取り付けするのが流行っていました。

ネットの掲示板には、○○の足回りはポン付けですか?

みたいな内容が溢れ、~らしい、のような噂話含めて真偽は不明な情報で溢れていました。

フロントはステム、ステムシャフトの互換性ネタで溢れていましたが、結局のところステムシャフト径が同じゼファーやZRXのステムをさくっと取り付けても、フォークオフセットとフォーク長、タイヤ外径の変化によるトレール量を無視した”とりあえず仕様”の車両も多く、
挙句ハンドルストッパーやキーシリンダー、メーターの取り付け処理に苦戦し、やっつけ仕事で仕上がりが無茶な車両が殆どで、今となっては「ノーマルの方がよっぽどかっこいいじゃん」と言うような車両も多かったと思います。

必要に迫られて換えるのではなく、中古で安く手に入れた足回りをどうにか付けてみたい、みたいな安易な発想が割と受け入れられていたようで、今となっては笑い話レベルですが本気でZRX400やXJR400やなんかの足回りをわざわざ取り付けていた車両も珍しくありませんでした。
フニャフニャのフォークスプリングに、短いフォーク長、17インチの小径タイヤでフルブレーキングでマフラー集合部が地面と接地する、なんて笑えない車両もさほど珍しくなく・・・。

当時の某雑誌なんかには、「設計が旧く剛性の無いZ/Jフレームには、現行400用の足回りでバランスが丁度良いのである」なんて書かれていましたからね・・・

いかに雑誌のライターが書くことがテキトーであったか・・・

スイングアームの流用も、スイングアームの構造を無視したような(理解していないだけ?)ピボットの寸詰め加工を行われたため、スイングアームピボット締め付けるとピボットが動かなくなるものや、締め付けているのにスイングアームが左右に動くものもあったり。
わけもわからずサンダーでスイングアームピボット部をがりがり削っていたお店も実際地元にあったし。

まあ、このあたりは今でも結構いい加減な流用をされている車両も多いです。

スイングアーム流用時に真っ先に比較するのはスイングアームピボット部の内幅、つまりスイングアームのピボット幅ですが、これって対象の車両のスイングアーム同士を比較しないと意味がありません。
Jなんか特にそうですが、フレーム単体でフレームのピボット部の内幅を計ってもダメです。
フレームのピボット内幅は、どんな車種でも必ずスイングアーム幅より幾分かプラス寸法で作られています。
そうでないと、クリアランスがゼロではスイングアームを組み込むことが出来ません。
ピボットシャフト(場合によってはエンジンマウントも)を適正トルクで締め付けることでフレームとスイングアームが密着するように出来ています。
更にこの辺りの寸法がおかしいままフレームを溶接補強されると後々厄介なことになります。

アクスル側も同様、アクスル幅とはスイングアームの内幅ではなく、ホイールベアリングとホイールディスタンスカラー、リアキャリパーサポート関係を合計したものがアクスル幅です。
まあ、このあたりは無視したところでせいぜい1~2㎜の狂いかもしれませんが、理屈と構造を知って改造するのと知らずに改造するのでは本質的な意味が違うかな、と。
たかだか2㎜でも、センターズレという点で見れば最大4㎜のセンターズレになりますからね・・・

と、ここらに拘ってやっても、結局は車体の修復歴や個体差だったりで、いざ組んでみるとどうもおかしい・・・って事は多々あります。

結局は車体の垂直(ピボットの水平レベル)を出して、レーザーかピアノ線みたいなものをステムパイプセンターからピボットセンターに通してやって、現物あわせでセンター出ししてやるのが手っ取り早いと言うのが現実ですが。

と、ネタ切れしてるのでたまに思うことを書いてみました。