バランス

薄型ジェネレーターに関連してよく質問されるのが、
「現状、エンジンがハイコンプな都合で、スターターワンウェイがよく滑ったり飛んだりするんだけど、コレは大丈夫か?」
と言うような旨の内容。

これに関してはさほど問題ないです。

ただ、ハイコンプというのはその度合いによります。

エンジンスペック上の圧縮比が仮に11.5:1とか12:1のようなレース用エンジンでも、常識的な作用角の大きいカムとバルタイで組んであれば、問題なくクランキング可能です。
純正の3ローラー式のワンウェイクラッチよりも耐久性はあります。

ただし、たまにあるのですがハイコンプと言ってもエンジンの圧縮圧力、コンプレッションの極端に高過ぎるエンジンで、既に純正のワンウェイクラッチが消耗品の様にダメになったり、新品セルモーターと新品バッテリー合わせてもクランキングが厳しい様な車両では、スターターワンウェイが強化されることで別のトラブルが起こる可能性も出てきます。
具体的にはマグネットローターとクランクテーパーの滑り、ワンウェイクラッチ固定ボルトの破断等。
勿論、既にクランクテーパーがズルズルに焼けてしまっている様な車両なら尚更。

個人的には、極端にコンプレッションの高いエンジンはストリート仕様では好きではありません。
確かに低速はゴリゴリのトルクと超絶レスポンスでスゲー!となるのですが、それと引き換えに抱えるリスクが高過ぎます。

また、前にも書きましたがコンプレッションって、単位面積あたりの圧力を表しています。

70mmボアのエンジンと、76mmボアのエンジン、単純にピストン投影面積で比べても約1.2倍。
これで更に改造によりコンプレッションが10キロから16キロに上がって1.6倍になると仮定すれば、結局、スターター系統にかかる負担は約2倍になります。

なので、現状でワンウェイクラッチがすぐダメになるような車両に使う場合、薄型ジェネレーターのワンウェイクラッチは持つとは思いますが、他でトラブル出る可能性が否定出来ません。

としか答えられないです。

未だにエンジンの圧縮比と圧縮圧力を混同されている方が多いのですが…





薄型ジェネレーターKITには対応していませんが、Z1~Z1000A2までのスモールエンドタイプのクランクシャフトの場合、このあたりの補修部品はかなり手に入りにくい上に、ワンウェイの破損だけならともかく、マグネットローターのネジ穴、テーパーがやられるとマトモな中古部品が見つかるまで乗れなくなります。
その辺りを考えて、ソコソコでやめておくのもまた勇気かなと思います。