白煙

白煙が出るけど原因が掴めないっていう車両。

オーバーサイズピストンでボーリング、バルブガイドも打ち替え、なのにオイル消費する、後続車から白煙が出ていると言われる、と。

ピストン/シリンダーに関しては当然指定クリアランスで仕上がっていれば問題ありません。
ただし注意するのはリング。
社外品の中には上面下面の指定があるにもかかわらず識別マークの無いものがあったり、あってはならないことですがマークが誤って記されていたり。
これは実際にあった事なので本当に断面をよくよく目視で確認が必要、純正品も同様です。

またシリンダースリーブの上面ツバ外周が茶色く変色している場合も要注意。
スリーブとシリンダーの間を毛細管現象でオイルが伝い上がりしてオイルが燃えている場合もありました。

ヘッドに関しては定番のステムシール劣化に始まり、ガイド周囲からの漏れ、特にインテークポートはエンジン稼働中は吸入負圧がかかるので常にポート側に強烈に吸い込む力が働いているから、僅かなリーク箇所でもかなりの勢いでポート内に吸い込んでいる場合もあります。
インテーク側は特にバルブステムの痩せでガイドとのクリアランスが0.06を超えてくると長時間のエンジンブレーキやアイドリングでステムシールからオイルを吸い込む例も珍しくありません。

ステムシールが新品でオイルを吸うわけないよとも言われますが、実際にはバルブガイドとバルブはエンジンオイルで潤滑されています、仮に完全にオイルを吸わない状態になればガイドとバルブは抱き付き、焼き付きを起こします。
排気側はクリアランス過大になってきてもインテーク程は負圧状況にならないので意外とオイルが漏れてこない場合が多いです。

あとは改造車ではハイリフトカムの使用でバルブコッターがステムシールのリップを押していてオイルを吸い込む例もあったり。
社外ステムシール等の組み合わせによってはヨシムラst2クラスのカムでもコッターがステムシールに当たる場合もあるので要注意。

特定の気筒だけベトベトになる、と言った場合と全気筒が同じ感じでベトベトになると言った場合でもまたトラブルシュートは変わってきますが、
とにかく測る、観察する、これしか対処はありません…。
おかしいな…と様子見していても良くなる事は絶対にないので、ある程度の諦めと決断力でこの辺りを見直すしかないです。