圧縮比とコンプレッション

エンジンO/Hの話をしていて、必然的に出てくるのがピストンのお話。

最近は全国的に?モアパワーよりも純正オーバーサイズで延命・・というオトナな選択をされる方が圧倒的に多いようですが、やっぱり中には「せっかくだから・・」と社外ピストンを選択される方も居られる訳です。

その際に気になるのがカタログに記載されてる「圧縮比」

ワイセコの72mmとか73mmだと10.25と表記されてます。

どうもね、コレが低すぎて気に入らないと仰る方が多い。


たしかに、近年のSSモデルはノーマルでも12.5とか13という設定です。

理論から言えば当然圧縮比が高い方パワーが出ます。


がしかし、圧縮比の定義をここで思い出さないといけません。

(排気量+燃焼室容積)÷燃焼室容積=圧縮比


とまあ、それだけの数式です。

燃焼室容積を小さくするか、排気量を大きくすれば圧縮比が稼げるということです。


けどね、本当に大事なのはそれだけじゃないんです。

圧縮比ではなく、圧縮圧力を重視しましょう。

俗に言うコンプレッションですね。

プラグホールに圧力計差し込んでクランキングさせて測定するアレです。

勿論、圧縮比が上がれば圧縮圧力は増大します。


そしてコンプレッションが上がると今度は新たなる問題が出てきます。

ポンピングロス、要するに圧縮圧力が高いということは逆にエンジンの回転にとっては抵抗以外の何物でもありません。


手動の自転車用の空気注ぎを連想してみてください。
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注ぎ続けてタイヤの空気圧が高まる(コンプレッションが高まる)ほど、どんどんポンプを押すのに力が必要になりますよね。

おまけに空気注ぎが発熱してシリンダ部分が熱くなってるのを経験した事があると思います。

アレと同じ事がエンジンで起きています。

高回転が回りにくくなったり、妙に発熱量が増えたり。


それでも使えるエンジンにするには・・・?

そこで出てくるのがいわゆるハイカムです。

バルブの開いている時間を長くして、適度に圧縮圧力を逃がす効果もあるんです。


ハイコンプピストンとハイカムがセットで使われるのはそういう意味もあるんです。

エンジンってのはバランスが一番、圧縮比上げればパワー出るだろ、みたいな単純な物ではないんですよ・・・