圧縮圧力調整

圧縮圧力、エンジンコンプレッションの続き。

前回記事で測定方法について書きましたが、
だとしたら、エンジンコンプレッションなんて、使用オイルやバルブクリアランスでも変わっちゃうんじゃねぇの?って話も聞きます。

勿論、変わります。

カムシャフトが磨耗すれば圧縮圧力は上がります

バルブクリアランスが広がれば圧縮圧力は上がります

使用オイルの粘度が高ければ圧縮圧力は上がります

逆もまた然りで。

距離を走ったエンジンだと、各気筒の圧縮圧力にばらつきが出てきます。

基本的には距離を重ねれば圧縮圧力は下がってきますが、場合によっては圧縮圧力がどんどん上がっていく場合もあります。

燃焼室、ピストントップにカーボンが大量に堆積した場合は、圧縮比そのものが上がるので、圧縮圧力も上がってきます。

1mm堆積すれば、面研1mm相当の効果があるので、これは相当変わります。
とは言っても、カーボンは徐々には堆積していくので、当人にはさほど体感は出来ませんが。
これが、少し距離を走ったエンジンの方が、調子が良くなったような気がする原因の一つとも言われます。

ただ、問題なのは距離を乗った結果、
カーボンの堆積も各気筒バラバラ、
バルブクリアランスもバラバラ、
カムシャフトの磨耗もバラバラ、
結果、圧縮圧力もバラバラ。

これ、4気筒で集合菅が付いているとあまり気になりませんが、Z1の純正4本出しマフラーだと凄く気になります。
いくら負圧値でキャブの同調を取っても、気持ち良いズヒューンって音がどうもバラついたりして、なんかイマイチだな…という残念な感じに。

そんな時に、圧縮圧力が酷くバラついているケースが多いです。
かといって、問題なく動くレベルなのに腰上開けるのもちょっとな…
って時は、調整値内でバルブクリアランスをいじってある程度は圧縮圧力のばらつきを調整できます。

古くからやっているバイク屋さんなんかでは当たり前の作業ですが、最近のマニュアル数値重視なところだと、なかなかこういう感覚に頼るような微調整はやりません…
4本出しマフラーできっちり調整出来てるZを見ると、腕のいい人がやったんだなぁ、なんて見てしまいます。

W3みたいな2気筒のエンジンでは、左右気筒の圧縮圧力のバランスを取ってやらないとあの気持ち良い鼓動感が出ません。
あの辺のエンジンは大体がバルブクリアランスはスクリュー式で、かなり微調整が効くので、やり甲斐があります。

あとはオイル粘度。
単純に、粘度のあるオイルを入れた方が圧縮圧力は高い数値を指すことが多いです。
これは何となく感覚でわかると思います。


話は少し逸れて、シリンダー焼き付きによる圧縮抜けで始動不能のエンジンでも、プラグホールからネバネバオイルを垂らしてクランキングすると、暫くの間、圧縮圧力が復活して、エンジンがかかるようになります。
コレ、むかしバイク屋にいた頃、業者オークションに出す寸前にみんなやってたせこい裏ワザ。
焼きつきかけた2ストの原付なんかでも、これやると査定の時だけエンジンが暫くかかるんです。
不動とエンジンかかるのじゃ、査定の評価がちがいますからね…