ピストン帰還
ワイセコピストンが焦げて帰ってきました。
MOS2+WPC
昔からこの手の表面処理はあれこれといかがわしいもの含めて出回っています。
個人的にはこういうのはあまり好きではなかったのですが・・・
やらずに非難したり語ったりするのは不毛です。
ちなみに、同一エンジン内で処理したもの、しなかったものを比較しないと、語る意味は無いと思います。
よく、こういう処理したインプレで
「格段にエンジンがスムーズになりました」
「パワー、トルク共に上乗せされた印象」
などど語る人が居ますが・・・
断言します、それは処理のせいではありません!
この処理をするときには大概エンジンO/Hを兼ねています。
その効果を履き違えているだけです。
イリジウムプラグに換えて格段にパワーアップしたとか、燃費が向上した!と興奮するのと同じです。
(元付いてたプラグが、とっくに終わってただけということを忘れている)
個人的見解、経験による主観、推測では、この手の表面処理は組んですぐの初期なじみの早さ、それが狙いです。
実際に2サイクルエンジンのレーサーに処理していきなりナラシをせずに全開にしても、ピストン、シリンダがほぼ無傷だったり、
Zに組んでいきなり草レース予選、決勝を走ってもピストン、シリンダが恐ろしく綺麗でした。
使用条件、オイルも関係していると思いますが、こういう改造したエンジンで一番組み手側が心配なのは
「正しい、ちゃんとしたナラシ運転をしてくれるだろうか?」って点、
はじめの500km、1000kmの乗り方で、その後のエンジン寿命が大きく左右されるといってもいいと思います、それくらいナラシは重要。
最悪なのは「回しちゃいけない」を履き違えて、
街中を信号、渋滞にはまりながら低速走行したり、
妙に高いギアで走ってエンジンをしゃくらせたり、
回さないし、どうせすぐ捨てるんだから、初めはとりあえず安いオイルでいいだろうとか、
やっぱ調子よくなったわーと、始動後いきなり冷えた状態でブゥオンブゥオンとアクセル捻って空ぶかしする人とか、
もはやエンジンを壊したいとしか思えない愚行の数々をやっちゃう人が意外と多いこと。
で、3000、5000km走ったあたりで
「妙に白煙でるなー」とか、「妙にオイル食うなー」となり、
試しにシリンダはぐってみたら、ピストンスカート傷だらけ・・・
「なんだ、やっぱり◎●のピストンってダメじゃん」となってしまう例が非常に多い。
ダメなのはピストンではありません、貴方が使い方を間違えているだけです。
で、ほんの少しでもそういうリスクを避けたい、それがエンジン組む人の気持なわけで・・・。
組んだ人がナラシまでは出来ませんからね・・・
ナラシを成功させるという意味で、過剰な期待をしないのであればこの処理はお勧めです。
むやみやたらに各箇所に処理する必要は無いと思います、こういうのってメカに弱い人ほどいろんな場所に処理したがる傾向が強いですが・・
処理代だけで20万円以上かかったなんて笑い話のような実話もあります。
その人の次の台詞
「あと、マイクロロン処理もお願いします」
だったそうです。
(私ならその人に、あの名品、「ガンスパーク」をごり押しして16本くらい売りつける自信があります)
話は逸れましたが、
潤滑するのはあくまでもオイル、それを左右するのがオイルのグレードと、ピストン/シリンダの設定クリアランス、この基本を忘れてはダメです。
表面処理はあくまでも表面処理で、ヘンなオイル入れたり、誤った使い方をすれば、無処理の部品同様に壊れます。
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