Zとオイル

とりあえず、空冷Zは安物の半合成オイルさえ入ってりゃ壊れない。
 
もうそんな認識は捨てた方ががいいです。
 
正確には、壊れないんじゃなくて「動く」です。
 
メタル受けのクランクじゃないから辛うじて回っているだけで、既に過剰品質と言われたZ1クランクでもコンロッド本体が磨耗したり、ベアリング自体が酷く磨耗しているものに出会う率も増えています。
 
もちろん、それでもガラガラ言いながら動きます。
 
ヘッドのタペットホールもそう。
多少の縦傷が入るのは仕方ないです、ただ問題なのは新品のタペットを落とし込んだときにタペットが踊るほどホールが磨耗しているもの(大きな傷も無く綺麗に磨耗していて目視では分からない場合もあり)
 
いくら名機だろうが何だろうが、接触して動く部分は減る、これだけは避けられません。
乗れば確実に減ります、エンジンの残寿命は減っていきます、考えたくありませんがそれが現実です。
どんな有名なお店で凄腕のメカニックが組んでも、大枚はたいて新品部品を奢っても、その現実には逆らえません。
様々な表面処理も、あくまでもオイルの潤滑が適正に行われているのが大前提。
 
ならばいかにそれを遅らせるか?それしかありません。
それでもオイルをケチりますか?
 
で、オイル消費も多くの人が抱える問題でしょう。
酷くなると1000kmで1L以上消費するとかいう話も聞きます。
 
酷い消費の場合はオイル上がりの確率が高いです。
つまりピストンとシリンダのスキマからオイルが入り込み、一緒に燃えている。
これ、逆を考えてください。
それだけのスキマがあると言うことは、当然未燃焼ガスや排気ガスも、そのスキマからクランクケースのオイル内に混入していきます。
つまりガソリンや水分がオイルにどんどん混ざっていく。
事実、そういう車体のオイルを抜くと、走行が少ないにもかかわらず墨汁のようにサラサラになって粘度を失っていたり、異常に排ガス臭かったりします。
当然、劇的にオイルの潤滑性能は低下します。
これで乗れば乗るだけ益々シリンダの磨耗も進み、併せてカム、タペット周り、クランク、ミッションの磨耗も進行。
後はもう、相乗効果で加速度的に寿命を削りながら乗るだけです。
それを覚悟で乗るか乗らないかは個人の自由ですが。
 
オイルが減るから足している、なんてのもその場凌ぎに過ぎません。
予算の都合でエンジン本体の早急な修理が出来ないなら、オイルは継ぎ足すのではなく全交換しないと何の解決にもなりません。
老舗のウナギ屋の秘伝のタレじゃないんだから・・・
 
オイルは当たり前に組まれたエンジンなら100%化学合成のエステル系でも問題ありません。
事実、自分のはその類のオイルですが組んで5年、ヘッドカバーからの滲みすらありません。
勿論、消費も全くありません。
 
前歴の分からないエンジンではお勧めはしませんが・・・