事己責任?自故責任?

昔話。
 
 
 
事己責任?自故責任?そんな言葉は有りませんが、
 
自己責任。
 
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これ、ボーリングされてから未使用のまま抜いたZ1スリーブ。
 
プラトーホーニング+WPC処理まで施されていながらも、結局、使わず抜き取り廃棄処分。
そもそも知人の紹介で持ち込まれたシリンダ+ピストンだったんだけど、ボーリング済みということで預かったら、
スリーブの残厚が1mm有るか無いか。
 
自分の中ではNGの数値。
勿論、世間一般でもかなりヤバイと認識される数値。
 
ただ、オーナーさん曰く
 
「ネットで同じ仕様で組んで大丈夫だって書いてある記事を見た」
「某有名加工屋さんからもNGの連絡なかったし」
 
だから大丈夫だと思うから、これで組んで欲しい、との事。
 
で、自分は
 
「言われればそのまま組むけど、俺は絶対に持たないと思う、これより厚くても割れた実例あるし。
だから、組んで10m走ってブローしても、200km/hで走っててブローしてリアロックして児童の列に突っ込んで新聞に載っても、全部自己責任でね」 と告げた。
 
それでも腑に落ちないようで
 
「加工屋さんは何も言わんかったけど?」「他にネットで大丈夫な人おるけど?」
 
と食い下がるオーナーさん。
 
「だから、それで納得してるなら組みますよ?」と俺。
 
「大丈夫だよね?壊れないよね?スリーブ割れないよね?」
と念を押されるオーナーさん、
要するに、オーナーさんとしてはこれを組み付ける側の人間の保証をどうにか得たいらしい。
 
「いや・・知りませんよ、もしかしたらセル回しただけでぶち割れるかもしれないし、もしかしたら5万km走っても大丈夫かもしれないし、組んでみたらわかるんじゃないですか?」 と俺。
 
終わりのない攻防の末、結局スリーブは全部抜き捨てて新たなスリーブを入れて再ボーリングすることに。
 
結局、後で話を聞いたら、ネットで安く中古Z1シリンダと処分品のワイセコ?ピストンキットを手に入れて、それを某誌に掲載されていた加工屋さんにプラトーホーニング+WPC処理に出したらしい。
 
クランクケースがZ1だから、KZ1000系のシリンダだとケースアッパー拡大加工が必要になる。
その手間を抑えるためにZ1シリンダを中古で買い、安かったからとKZ1000系用ピストンキットを買ったのがそもそもの間違い。
 
それが薄々自分でもヤバイと思ったから、ネットでイロイロな検索をかけて、自分にとって都合の良さそうな情報だけを探し、どこの誰が書いたかもわからない記事を見て
「多分大丈夫だろ!」って思い、加工に出したのが次の間違い。
 
その記事書いた人が真実を書いているかわからないし、記事を書いた後でブローして、その事を書いていないだけかもしれない。
あるいは事故って二度とネットの出来ない事態になったのかも?
勿論、本当に大丈夫で全く問題なく乗っているかもしれない。
そもそも、ネットの情報自体が・・・・
 
加工屋さんからNGの連絡がなかった、と言うのは至極当然。
加工屋さんはオーダーに忠実な加工をするのが仕事で、注文指示通りに仕上げさえすればいい。
だってそれが加工屋さんの仕事だから。
まあ、常識ある加工屋さんならぼそっと一言
「大丈夫なのかよ?」「ヤバイんじゃね?」くらい呟くかもしれませんが。
 
結果的にオーナーさんは高い加工費を費やしたスリーブを4本捨てる羽目になったわけで、お買い得な買物をしたはずが結果的に大損。
いや、もしかしたらそのまま組んで何も問題なかったかもしれない。
でも、誰もそこに保証なんて出来ない。
結果の如何に関わらず、全て自分が起こした事態、事象であるという覚悟が必要。
 
昔、DYNA2000がすぐ壊れるとか、壊れないとかよく話題になりました。
数多く扱うショップでは例えば50台新品を付けて、1年以内に何台不良が起きた、とかいうある程度客観的データは取れますが、
中には壊れたって人の話や車体を検証してみると、
そもそも過充電でライトオフ時に車体電圧が16Vをバンバン超えているような車両や、
購入先が「ヤフオク極上品?」だったり、
取り付け方がやば過ぎたり、配線処理に問題があったり、指定外のコイル使っていたり・・・
そもそも、不調自体がDYNA2000のせいじゃなかったり。
結果が一人歩きしてる感があった気がします。
まあ、実際、新品が壊れてた事もあったけど・・・・・
 
 
昨日、御知り合いからホイールスペーサー、自動車用についての電話が有りました。
これ、タンドラにつけてる馬鹿スペーサー
 
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50mm厚、当然、こんなばかげたものは市販されていないのでワンオフです。
本体素材、スタッド素材、センターハブ径の嵌め合い公差、市販品よりもかなり厳しい?レベルで作りました。
でも、実際の所、バイク積んだら3トン近い車体で、100マイル巡航するような乗り物にこんなものは危険です。
遠征前には必ずホイール外してトルクチェックしないと不安で乗れません。
勿論、チェックといってもその程度で、別にボルトのMT検査やUT検査してるわけじゃないから、ハブボルトがいつ破断したってわからないけど・・・
PCD150で5穴のM14という特殊性ゆえ、当初オバフェンに合わせたマイナス50オフセットのホイールが手に入らなかったので苦肉の策ですが、ようやくホイールの目処が立ったのでそれまでの暫定処置です。
勿論、結果的にホイールが外に出る分、純正のハブボルト、ハブベアリング類に負担になる事に変わりはありませんが。
 
この手の部品を作りたいといわれたときに、自分は基本的に「止めた方がいい」と言います。
若者がなんちゃってVIPCARにヤフオクで買った中古安物ホイールを無理矢理付けるような行為を大人がやるのも恥ずかしいというのもありますが、
やはり実際に自分の周りでも走行中に緩んだとか、ロングハブボルトが折れたとか結構居ますからね・・・
勿論、3年、5年付けても大丈夫だったという人も居ます。
ただ、大丈夫だった人が居るというのが、「即ち自分も大丈夫」と言う保証にはならないのがこの手の部品の特徴だし。
実際、この手の部品でトラブっている実車を目の当たりにすると、ああ、やっぱりダメなんだ、って気付かされます。
百聞は一見にしかずと昔の人は言っていたし、外国でも "Seeing is believing" なんて言うし。
 
まあ、ヤフオク安物チャイナ製スペーサーの中には、緩むとか折れるとか言う以前に
「センターがおかしいだろ!」って位ホイールがブルブルして使えない、乗れない物もありますが・・・
もちろん、そのパッケージには「競技用、公道使用不可」なんてラベルが貼ってある。
そりゃ公道じゃ使えませんよ、一体何の競技に使うのかもわかりませんが・・・
 
 
結局、情報が溢れすぎたせいで物事の判断能力が鈍ってきているのかもしれないですね、自分を含めて。
落ち着いて冷静に考えてみれば、どう考えたってヤバイだろ、みたいな事でも、
何とか・・・・どうにかなるんじゃね?みたいに考えたり。
 
で、どうにかならなかったらどうする?覚悟は出来てる?それが自己責任。