本当にあった怖い話

昔、バイク屋で働いていた頃の実話。

とあるあまり付き合いもない、あんまり名前も聞いたことのない業者さんから、中古で置いていたゼファー750を業販して欲しいと言われ。

結構程度もいい出どころハッキリした車体で、未練はあったのですが、価格高めでも良ければ、という事で軽く整備して引き渡し。

まあ、細かい整備はあちらでやると言うことだったので。

引き渡しも支払いもすんなり終わり、そんな事ももう忘れていた数週間後。

その業者さんからすごい量のゼファー750の純正部品注文が。
車体番号は例のゼファー750。

部品内容から推測すると、エンジン全バラ。

と言うか、ミッションのギアとか全部注文入ってる。

一応念の為、価格書いてFAXしたら、注文してくれと一言。

後日、業者さんと、そのゼファーのオーナーさんが一緒に部品を取りにきた。

一体何事があったのか気になって、経緯を聞いてみた。


業者さん:「いやー、やっぱり中古は何が起きるかわからないよね。」(ちょっと嫌味に)

私:「え?何かありました?」

業者さん:「いや、ちょっとミッションがね。」

オーナーさん:「シフト出来なくなっちゃったんですよ」(苦笑)

私:「え?走行も少ないし、トラブル出るような車種でもないんですけどね…」

業者さん:「いや、中古だから仕方ないよ、俺も新車薦めたんだけどさ」(もっと嫌味に)

オーナーさん:「しょうがないですよ、勉強代だと思って○○さんにしっかり直してもらいます」

私:「なんか、すみませんね…」


と思いながらも、
あれ?何でミッションの修理でヘッドガスケットやら注文してるの?
腰上までバラすの?
オイル漏れなんかも無かったはずだけど。
と思い、

私:「ヘッドやシリンダーにも問題ありそうでした?」(謙虚に)

業者さん:「いや、走行少ないから圧縮もしっかりあるし、オイル漏れも無いんだけどね、ミッションだと全バラしないといけないでしょ」(このガキ、そんなこともわからんのか、と若干説教気味に)

若干イラっと来つつ、ちょっと反撃。

私:「ゼファー750は、エンジン降ろして、オイルパンとセカンダリシャフト外せばケース割れますから、腰上外さなくてもミッションだけ交換できますよ」

オーナーさん:「え?そうなの??」(業者さんをチラ見)

私:「出来ますよ、だって今も同じエンジン積んだGPz750のミッション入れ替え作業中ですから」

と、ピットを見せる。

たまたま、チェーンラインの都合やら、ワンウェイクラッチの後期型コンバートでゼファー750後期の部品移植中の車体があったので見せて説明。

業者さん、若干顔色悪く、説教の勢いもなくなる。

私:「まあ、ついでって事で、点検兼ねていいんじゃないですか」とフォロー。

業者さん:「まあ、ミッションいかれてるって事は、他も何かあるかもしれんと思ってね」

と、私のフォローを悪用。

業者さん:「あ、ほら、やっぱりこれもおかしくなってるよ、やっぱり弱点なんだな、うん、昔からカワサキはミッションよくダメになるんだよな、俺が若い頃乗ってたマッハも…って、まあ、マッハなんて兄ちゃんは知らんだろうけど」(外したGPzのミッション手にとって)

え?別にそのミッション壊れてないんだけど。
っていうか、何かハラたつなこのオヤジ。

俺:「え?どこが壊れてます?」

業者さん:「ほらほらここ、これこれ。」


勘の良い方はもうお気付きでしょう……














業者さん:

「これこれ、ギアが2速に入らんようになるんよ!」


私:「………」


ドヤ顔の業者さんと、そうなんですよと頷くオーナーさん。

私:「ですよね、だってそういう構造なので…」


以下の展開はもうお察しの通りです。

その場でミッションの構造を説明。

実車も交えて、ニュートラルから2速に走行中以外は入らないのが正常だと説明。

無言になる業者さん。

そしてその傍に無意味に十数万円の部品を買わされたオーナーさん。

使っても使わなくてもいい部品満載の段ボール抱えた無言のお客さんを乗せて、その業者さんも帰りのドライブはさぞかし長く感じた事でしょう。



後から知ったのですが、何とか輪業だか何とかサイクルみたいな屋号のお店だったんですが、自転車屋さんメインで原付少々扱うようなお店だったらしく。

その後の展開は知りません………


というか、普通に乗れていて、停止時にニュートラルから2速度に入らない事でどんな不具合、不都合があったのか、そっちも気になります……



あ、ちなみに今は正規取扱店で購入した純正部品は、いくつかの条件をクリアして、返品手数料を支払えば返品はできるようになりました。
ただ、手数料は1000円位したはずなので、安い部品を返品したら損します。