部品単品製作

部品の単品製作なんかを記事に載せると、結構な確率で
「俺のも作り直しといてくれよ」とか「俺のも作ってくれ」なんて、知り合いから連絡があります。
 
勿論、同じ手間の作業であればこちらはオーダー数を増やすだけなので構わないんですが、
時折「材質を●●に変更できる?」みたいな事を言われます。
勿論それも全く自分の手間ではないので構わないんですが、アルミ合金を用いた部品の場合は溶接を行う
部品の場合、適するものと適さないものがあります。
以前にリアサスのスイングアーム溶接用ブラケットをいくつか作ったときにも、自分が作ったのはコスト、強度、バフ仕上げ後の美観、スイングアーム母材との相性、溶接性をトータルで考えてA5083を採用していました。
しかしそれを強度重視でA7075の手持ち部材で作りたいとの事。
確かにA5083に比べればグレードの高い素材ですが、溶接の相性やらなんやら、細かいことは書きませんがこれは用途に合わないんです。
製作と溶接は不可能ではありませんが、加工時間はかかるので手持ち部材であっても意外と加工費とその後のリスクだけが高くなってしまうというデメリットも大きい。
大昔、汎用品で売られていたリアサス溶接用マウントの中には何故だか溶接には向かないA2017で作られて高強度を売りにしたものもありましたが・・・。
強度という面だけで判断できないのがモノ作りの面白いところでもあります。
キャリパーサポートなんかもA2017からA7075へ仕様変更出来ますが、アルマイト後の美観、耐食性は難アリになる場合も多く、加工費もかさむのでコストの割りに得られるものは意外に無い場合も。
こういう場合はA2017材のままで形状や板厚変更で拘りを見せるのが面白いと思いますね。
まあ、実際に計算してみるとA2017で仮にフロントにCP2696用の1枚板状のサポート作るには、Z1100R/GPz1100の純正キャリパーブラケットを元にすると8mm厚でも充分ノーマルを上回る強度は得られるんですが、それはそれ。
(勿論、形状の都合上、フォークとキャリパーの距離が極端に離れる場合は別)
 
次に多いのがキャリパーサポート等では私がM10以上の部分では原則、細目ピッチを採用しているのですが、
そこを並目ネジに変更して欲しいという話。
例えばM10X1.25をM10X1.5に、みたいなケース。
それも別にこちらは構わないんですが、理由は大概「今使っているボルトが並目だから」というだけなんですが、
一応、これも考えあって細目にしているので。
同一深さならねじ山の接触面積も稼げて、ネジの螺旋角度も少なくなるので緩みにくい。
また、M10ボルトでも並目ピッチの谷径は8.376mm、細目ピッチの谷径は8.647mm、断面積で比べると6.6%程大きく、同じM10ボルトでも細目の方が破断に対して強い。
まあ、現実見ればM8ボルトを使用している車種もあるにはあるのでどうでもイイだろと言えばそれまでですが。
そんなしょうもない事も一応考えているので、出来ればボルトを買い換えるのが良いのではないかと。
既にワイヤリングの穴あけ加工とか済ませていて面倒なのはわかるんですが。
 
ものづくりに携わっている方には当たり前の話でも、そうでない人から見ればぱっと見は同じ部品。
 
そんな事やって小遣い稼ぎやってるのかよ、と思われるかもしれませんが、単に趣味でやっている事なので商売にするつもりはありません、ただの自己満足です。
面白いですよ、図面を引いたものが形になるって。