日本の製造業

先日、Zのシリンダーヘッドを再販とのニュースがありましたが。

工作機械を取り扱う事の多い自分としてはどうやって作るのが一番効率的なのかな?とか考えてしまいます。

鋳物については専門的な知識がないので3Dで型を設計してそのあと具体的にどんな鋳型でどう抜くのか、とかはわかりませんが、

仮に自分が鋳物を無加工で渡された場合、機械加工はどういう手順が良いのかな、とか考えてしまいます。

上下面出し
タペットホールとバルブガイド下穴切削
スタッドボルト穴加工とザグリ加工
プラグホール穴加工、ザグリ、タップ加工
カムホルダー用M6穴のタップ加工、ドエルピン穴切削
カムシャフトジャーナルラインボーリング
燃焼室整形切削
バルブシートリング整形切削
インテークポート面切削、インシュレーター用M6穴タップ
エキゾーストポート出口切削、M8スタッド穴用タップ加工
タコメーターギア用穴加工とM6タップ加工

5軸加工機でも、やはりカムのジャーナルラインはまた別の専用機にのるのかな、とかその時のワークの位置決め、基準点をどこに取るのが一番精度が出せて繰り返し加工に向くのか?とか

素人がそんなこと考えなくても専用機みたいなのがあるのだとは思いますが… 笑

形状が違うだけでヘッドの機械加工はどのメーカーだって同じだし現行車よりよっぽど工程が少ないですからね、
ここらは意外と再生産のハードルは低いのかな、と。

ただ、クランクシャフトは?
多気筒の組立式クランクなんてカタナを最後に少なくともオートバイ用としては量産はされていないのではと思います。
となると新たに生産ラインから立ち上げるのか?
クランクのウエイト部やセンターピンなんかを単品で作るのは難しくないと思いますが、
組立、精度出しを安定して供給するとなるとどうなんでしょうね。

ちょっと話はズレますが、工作機械でも大昔の専用機、ギア、歯車加工などは工場に大昔の歯切りの工作機械があっても、既に何年も稼働させてない、
稼働させて無いだけならまだしも、既に当時のオペレーターは退職していて技能伝承もしていないから機械の本当の正しい使い方すら工場の誰もわからない、電源の入れ方すらわからないといった事態がチラホラと起きているそうです。

取説を見ようにも手書きベースのドイツ語のものだったり、
ドイツ製の機械を過去に日本で改造していたりで何がなんやらわからない、とか。
戦前戦後の日本で使われた大型の工作機械はドイツ製(シースやジーゲン)で特殊(独特?)な機構になっていたりで、国産の機械は使えても当時のものはちょっとわからない…なんて事もあるようで。

逆に戦前に輸入されたドイツ製の超大型工作機械が未だに日本の製造業の前線でNC化されて改造されつつ現役で稼働していたり…
戦時中に大型戦艦の砲台の旋回装置を削っていたものがそのままメンテナンスされ続けて現代ではエネルギー、環境関連の大型機械のギアを削っていたりと、技能伝承が続けられている現場もあるようですが。

って、クランクの話から全く関係ない事に。

意外と、日本の製造業の最前線って、崖っぷちに立たされているのでこういうプロジェクトには興味津々です。

果たして作れるのか作れないのか?