洗脳

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旧いバイクに大金と手間をかけてお気に入りの一台を作る。

実に贅沢な遊びですが、時々自分の中で壁にぶつかります。

結局、どうしたいの?どうすればいいの?と思うような依頼をされると、どう受けてよいものやら断ってよいものやら、悩みます。

ZやJ系だと、オーナーさんはカスタムする気満々でも、そもそもベースになる車両がボロ過ぎてカスタム云々以前にマトモに走る状態にしましょうよ・・・なんて思うことが非常に多いです。

「150km/h位から車体が暴れて振られるから、フレーム補強して太いフォークにフォークオフセットは○●mmにしてステダンを…」
とか言われると、
「その前に150km/hで振られるってのはどこかに異常があるからであって、そこを改善してから考えましょうよ」
と言うべきなのか、ホイホイと引き受けるべきなのか。

ニンジャのA6以前のような古いモデルに
「リアに180とかブっといタイヤ履きたいんすよ、ホイール流用でどうにかならないっすかね?タイヤが選べなくてねぇ~」
とか言われると、
「その前にその効く予感もしないノーメンテのフロントブレーキにオイル漏れまくりのAVDS、固着しかけのリアサスリンクどうにかするか、タイヤ選ぶよりもバイク選び直したほうがいいんじゃない?」
と喉元まで出かけた言葉を飲み込んだり。

いや、自分のバイクをどうしようとオーナーさんの自由なのは事実だし、それが大前提なのは十分承知です。

ただ…なんかそういうのって燃えないんですよ。
頑張れないというか、もうオーナーさんは雑誌見過ぎて洗脳されてるんですね、こっちの意見よりも雑誌の記事、コメントの方を信じきってるし、頭でっかちになってて視野がせま~くなってしまってるんです。

中には「ラジアルブレーキマスターは理論上、横押しのマスターに劣っている」と延々理論を並べたりする人も。
まあ、どこの雑誌で読んだのかラジアルが理論上横押しのマスターに劣る、というのも彼の描いた力学的根拠に基いた机上の理論では一理ありました。
が、大事なことを忘れています。
ブレーキは入力の「力」の問題(ベクトル上の理論)よりも実際には人間の感じる操作感、フィーリングが大事なんです。
いかに安心してフルブレーキングに持ち込めるか、そこを忘れては意味がありません。
使う前から否定するほど閉鎖的になる必要もないでしょう。

洗脳も酷い人になると「ニンジャはフレーム補強しないとエンジンマウントボルトがすぐ折れる」と形相を変えて訴えたり、(その人は3万キロ以上乗ってマウントボルト折れたことがない)
Zのエンジンだと「強化アイドラーにしないと絶対に駄目とか、カムチェーンは○●でないと駄目らしい」とか、もうやられてしまってるんです。

だって貴方達、ツーリングしかしないしこれまで普通に乗ってトラブル無かったじゃん、元の状態の戻すのがO/Hじゃないの?
と思うけれど、もうそういう人はやらないと駄目なんですね、お金が無駄にかかるとか、デメリットがあるとか関係ないんです、洗脳されてるから。

逆に作り手が洗脳されてるって事もあるようですけど・・・

必要もないのにクランクピン溶接。
まだ新品があるのに中古クラッチハブをわざわざリビルト。
ツーリングしかしないっていってるのに76mmのピストン。
頼んでもないのにステンバルブ&チタンリテーナー

ものすごくお金かけたのに、どうも乗ってしっくりこない、いや、良くなったと信じたい。
そうやって無理やり満足しようとしても人間は正直だから走行距離に現れます。
大金つぎ込んだ結果、走行距離が減った、なんてのは悲しいです。

頭でっかちにならず、バイクは楽しいものだということを思い出したいですね。