タペットクリアランスでパワーアップ?

時々あるのですが、カムカバーのガスケット交換のついでにタペットクリアランスの調整をします。
(Z/Jのアウターシムなら全く手間がかからないのでついでに・・)

まあ、得てしてクリアランスが広過ぎるよりも詰まり過ぎているケースのほうが圧倒的に多いです。

これを車種ごとのサービスデータ内でMAXに振って調整するのですが、

納車後、敏感な人は「エンジンにパンチが出ました」と感想を言われます。

さて、本当にそんな事あるんでしょうか?

リアランスが狭い場合、必然的にカムシャフトがバルブを押す時間が増えます。

バルブが開いている時間が増える・・・吸入空気量も多くなるハイカム効果?も得られるような気もします。


逆にバルブクリアランスが広い場合、必然的にカムシャフトがバルブを押す時間が減ります。

バルブが開いている時間が減る・・・吸入空気量も減る?パワーダウン?


そうなりますよね、普通に考えると。


がしかし、もう一つの大事な事を忘れています。

エンジンコンプレッション。

4サイクルエンジンは、より混合気を高圧縮したほうが効率が上がります。
もちろん、限度はあるし、過度の圧縮圧力ポンピングロスを招きますが・・


で、上に書いた

「バルブが開いている時間が減る・・・吸入空気量も減る?パワーダウン?」

これ、逆を言うと

「バルブが閉じている時間が増える・・・しっかり混合気を圧縮できる」

になるわけです。


元々、4サイクル多気筒エンジンは低回転ではバルブオーバーラップ(IN、EX両方が開いてる時間)の設定で若干の混合気の未燃ガスの吹き抜けがありますから、

バルブクリアランスが適正値内で広い場合の方が、吹き抜けが減って実質的なエンジンコンプレッションが上がり、

市街地走行などでは

「以前よりパンチが出た」という表現をされるのでしょうね。

社外カムの選択などで

K395、K410、K425、K435、どれにしよう・・・

迷って迷って悩む人も多いですが、意外とクリアランスに気を使わない人が多いようです。

ちなみに上記の395とか435っていうのはカムのリフト量をインチで表したものですから、

数字に0.0254をかけた数値がミリリフトになります。

ミリ表記すると・・・


K10.033、 K10.414、 K10.795、 K11.049

になります。

差は大体0.3mm位なんですね、それぞれ。

実際、Zのエンジンはタペットクリアランス0.05mmでも動くし0.25mmでもとりあえず普通に動きます、

カムのリフト量で悩むより、一度バルブクリアランスで悩んでみるのもいいかもしれません。