酷暑と空冷

無理です、この暑さ。
さすがに空冷のリッターバイクで市街地を走るのはバイクにも人間にもツライ。

何か最近それらしい記事を書いていないのでたまにはそれっぽい記事を。

空冷車両に初めて乗り始めた人からよく聞かれる、
「油温って何度まで大丈夫?」っていう質問。
Zだと一般的にはエンジン右のオイルギャラリーから測ると思いますが、あそこってオイルクーラーから戻ってきて、さあこれからシリンダーからヘッドへ上がっていくぞって所の温度。

なのでオイルクーラーを装着したり、コアを変更したりすると覿面、数値に変化が現れる。

ここで問題になるのが、エンジン自体がオーバーヒートしていても、高速道路などをそれなりの速度で走ると油温計の数値自体はみるみる下がって割と低い値を示すので、必ずしも油温が低いからエンジンの状態はまだまだ余裕、とは言えない場合もあるという事。

オイルを冷やせばオイルが冷媒になってエンジンを冷やす、という認識は間違いではないのだけど、残念ながらオイルは水のように熱を伝えない(奪えない)ので、水冷のイメージのようにエンジンは冷えない。
概ね、、ですが熱伝導率でいうと水とエンジンオイルは5倍違います。
あくまで熱伝導率の比較です、水冷エンジンは更に冷却を目的としてシリンダー周囲など各部に水を通しているので、空冷エンジンにおいてはエンジンオイルがエンジンを冷却しているという考えはあまり持たない方が良いです。

じゃあ、レーサーなどでオイルクーラーを増設したり巨大化させているのは間違いなのかというと、やはりあれはオイルの温度を適正に保つのが目的であって、走り始めるとゴールまで15~20分間、停車する事のないレーサーと公道仕様車を同様に考えるのは少し意味が変わってくる。

じゃあ何をもってエンジンがヒートしているかを乗りながら判断するか?ですが。

オーバーヒートが原因で壊した人が訴えた症例でいうと、

ヒートしてきてアイドリングが異常に不安定、またはアイドリング回転数が異常に上がる。
走り出すとやたらノッキングする。
これはエンジンの熱でガソリンが沸いていると起きやすい症例、
無理してそのまま乗ると燃調の狂いから異常燃焼を起こしてピストンが棚落ちしたり。

もうここまでなってしまったら諦めて一旦休憩を取るしかありません。
どうにか冷やそうと気温40度近い中をダラダラ走っても回復の見込みは薄いです。

中には空冷用にクーリングファンを取り付けた方もいましたが、これもなかなか効果的な位置に効果のある大きさのファンを設置するのはなかなか難しい、
あまり巨大なものだと今度は高速走行時に返って冷却の妨げになるという矛盾も起きたり。

じゃあ、夏に乗るのはムリなのか?
と聞かれると、こんな酷暑の中で渋滞のある都会の市街地を長時間乗るのは無理です、壊れます。

30年、40年前の道路事情とは違うし、この時期乗るなら早朝、深夜、高速道路をうまく使って。

あと、オイルはそれなりに良いものを。
安いものを頻繁に変えれば良いという考えもノーマルエンジンなら通用しますが、やはり熱的に厳しいそれなりのピストンなど組まれたエンジンではオイルのグレードの差は目に見えてエンジン内部の消耗に影響してきます。