SP-TDC他機能

インジェクション仕様にするとマップ書換えばかりに目が行きますが、マップ脇には各数値が色々。

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ピックアップ基準、読んで字の如くです。
便利なのがこれがエンジンかけながらでも乗りながらでも手元のダイヤルで60~80°の間でいじれます。
ノーマルで言うならピックアップコイルのベースプレートを走りながら±10°動かせる、って事。
加速の時にノッキング出るギリギリのポイントが乗りながら探れます。
これは本当に助かると言うか便利。
極端な話、最高速トライアル中やシャーシダイナモ計測中に点火時期を動かせます。
まあ、一歩間違えたらとんでもない事になるのでここではオススメはしませんが……

ドエルタイムは点火コイルへの通電時間、これはWindows上で好きに設定可能。
長けりゃいいってわけではありません。

キモなのがバキュームのMINとMAX、これが基軸になります。
MINがアイドリング時(負荷8%前後)のバキューム値、MAXが大気圧ですが、これがダイレクトに燃調マップの縦軸になります。
当然ながら大気圧は変化するので、これがネック。
まあ、キャブセッティング出来る人なら感覚は割と早く掴めるとは思いますが、初めはイマイチ大気圧基軸で考える事に慣れませんでした。
慣れてくると意図的にMAX値を少しズラして変化の様子を見たり…
これもWindows上でいじれます。

レブリミットはそのまま、これもWindows上で設定。

ストローク判断はバキュームセンサーの感度になるようですが、書き換えてみると調子悪くなったので自分は推奨値の10で弄っていないです。

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始動時噴射時間、これがクランキングの時にチョーク代わりになります。
噴射時間(量)は自在に設定可能。
TMRとかだと、加速ポンプを始動時に意図的に効かせるイメージ。
慣れないうちはエンジンがなかなかかけられません。
自分の場合は冷えている時は初めからいきなりエンジンかけようとせず、まず燃料ポンプ回して燃圧かけて、そこでスターターボタンをちょん、ちょん、半回転~1回転のクランキングをさせるイメージで2回位押します。
これでポート内にガソリンが入ります。
そのあとでスロットルを微開してクランキング、これでまずかかります。
もちろん、エンジン暖まっている時なら普通の方法でかかります。

ただ、バッテリーが弱かったり、セルモーターやリード線が劣化しているとダメ。
電気食われてSP-TDCユニットの電源が一瞬落ちてかからなくなります。
これはフルトラの点火方式使っているキャブ車も同じですが。

ちなみに燃圧がかかっていれば、押しがけでもエンジンはかかります。

ベース噴射時間は簡単に言うとインジェクターの個体差を見てインジェクターの同調を取る為の設定。
設定方法は…
すごく原始的です(笑)
自分のはたまたまほぼ個体差が無かったので4本同じ数値になっています。
これを利用して、空冷マルチの場合は微妙に#2、#3シリンダーだけ少し噴射量を増やして冷却効果を狙うことも可能。

そして燃ポン稼働率、これも読んで字の如く、燃料ポンプを回転数に応じて運転、節電しています。
こんなに回す必要は無いんですが、デリバリーパイプ内のパーコレーション防止の為に回しています。

とまあ、99%の人には縁のないネタですが1%居るであろう、これからインジェクション化してみようかな、と思っている人の為に何か参考になれば…

自分のは旧型V120ですが、手元のダイヤルで乗りながら感覚的に操作出来るのは大きなアドバンテージだと思っています。

で、誤解されたくないのはインジェクション化=高性能とは私は思っていません。
先日もほぼノーマル車体にCRキャブ、ダイナSの組み合わせに乗りましたが、シンプルな仕上がりと何のギミックも感じさせない機械式進角装置。
これはこれで現代には無い乗り味。
元々のZの雰囲気を乗り味含めて好きだ、って人も居て当然。
仮に遅くても、ヨレても、それがそのバイクの本来の姿なんだからそれを好きな人が居たっておかしくない。

どれも選択肢の一つに過ぎない、かな。